「本当に怖い!」という評判の和製ホラー『呪怨』で大ヒットを飛ばした監督・清水崇の自伝的な本。
学生時代から映像畑で仕事をするようになるまでを追う前半は、現在の地位に来るまでいかに苦労したかが伺えるエピソードが多い。
装飾部手伝いから助監督を経て、ようやく監督業に就くも、思ったような尺の作品が撮れず、その悔しさが行動力・創作力の
強力なバネとなったのもよく伝わってくる。
しかし本書の白眉は何といっても「ACT4・ハリウッドにて」の章でたっぷり描かれる、アメリカ版『THE JUON/呪怨』製作をめぐる
エピソードだろう。
時間刻みの合理的主義で仕事を進めるアメリカチームと、慎重を期して丁寧に進めたがる日本チームとの間で、
ストレスを感じる清水監督の心境に同情を禁じえない。
撮影現場のトラブルやアメリカ側、日本側スタッフ&キャストの目に見えない壁についてもかなり正直に書かれており、
『呪怨』のみならず、広く色々な映画を見るファンにとっては興味深い内容のはずだ。
時系列をバラバラにして再構築した日本の劇場版『呪怨』は、一部の観客には判り辛いオチだったかも知れないが、
これについても監督本人からタネ明かし(オチの説明)がなされていたり、低予算の企画「ホラー番長」の枠で撮った
『稀人(まれびと)』の裏話なども盛り沢山。
いまやハリウッドからのオファーも来るほどビッグネームとなった清水監督の、それでも初期の頃からあまり変らない、
つつましい人柄に好感が持てる。
お約束の、巻末の心霊体験ネタの記事も良し。
本書のページ左下は、(呪怨の)俊雄くんのパラパラマンガという遊び心。もちろん絵は清水監督本人によるもの。