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寿命論―細胞から「生命」を考える (NHKブックス)
 
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寿命論―細胞から「生命」を考える (NHKブックス) [単行本]

高木 由臣
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

なぜ「寿命」という決められた死が存在するのか。じつは寿命は原初の生命には存在せず、有性生殖の誕生と共に生まれたものである。遺伝子の働きからタンパク質の生滅、細胞器官の挙動までゆらぎを孕む生命システムのメカニズムを明らかにし、ゾウリムシからヒトまでの寿命の法則を吟味することで、生物の多様な生と死の姿を描き出す。原核細胞から真核細胞へという進化のドラマを追い「死」を取り込んだ生命の進化戦略に迫る渾身の生命論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高木 由臣
1941年、徳島県生まれ。静岡大学卒業。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。同博士課程中退。奈良女子大学名誉教授。理学博士。専攻は発生遺伝学、細胞生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 251ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2009/01)
  • ISBN-10: 414091128X
  • ISBN-13: 978-4140911280
  • 発売日: 2009/01
  • 商品の寸法: 18.2 x 12.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
寿命や老化、個体死は何故あるのか?についてまるまる一冊論じている。著者の基本的な疑問は「有性生殖が環境にマッチする多様性を産みだし、そのトレードオフとして個体死を作り出した」という従来の説は正しいか?というもの。有性生殖の多様性増大説は最近よく出ている生物学的性を扱った本でたびたび紹介されており、定説かのように扱われているが進化的な有利さという点ではまだ議論がある。
本書の議論は遺伝、発生、細胞生物学の詳細に立ち入っておりなかなか門外漢には取っつきにくいところで、どこまで正しいかは判断できない(著者も独自の説だと述べている)のだが、図解も多く、できるだけ丁寧に分かりやすく説明しようと努力しているので寿命や老化について興味がある人には一読する価値がある。

問題に感じたのは、多様性増大説は「進化的な有利さ」に関する仮説だということ。しかし著者はその説に疑問を呈しているにもかかわらず、あまり自説の進化的な有利不利を論じていない。本書の中盤で「木村資生が適応進化より中立進化のほうが重要だと明らかにした」と述べている点が気になる。だがそもそも適応説と中立説は説明する現象の階層が違う。適応進化よりも中立進化が重要だという解釈は初歩的な誤解だし(何にとって重要か?にもよる。例えば系統分類学の研究にとっては非常に重要だ)、この誤解は本書の論点にとってはかなり重大だ。著者がもし、適応は重要ではないので寿命や老化の進化的力学については言及しなくても良いと考えたのだとしたら、ちとお粗末だ。ただしその点を差し引いても寿命の至近因を論じている一冊としては価値があると思う。
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形式:単行本
●寿命をもつ生物がいるのはどうしてか?なぜ生物種によって寿命の長さが違うのか?著者のライフワークであるゾウリムシの研究をもとに案出された、独自の生物寿命論。

●寿命の生物学を多面的に点検した結果、著者は、「寿命」が逃れがたく存在する理由を「ジャーム(生殖細胞)とソーマ(個体)へのエネルギー配分のバランス」(P238、カッコ内はレビューア)であると結論づける。

●著者のこの結論は、私の理解した限り次のように説明できる――
(1)生殖細胞をできるだけ多く残すのに最適な期間を生き延びる個体が集団中に広がる
(2)その期間以上生き延びることは適応的に有利でも不利でもない
(3)したがって、個体に不死がプログラムされることはない
(4)結果として、運のよい個体は生殖限界齢を超えて寿命まで長生きするがそれはプラスアルファでしかない
(5)ゆえに、種によってだいたい寿命というものが決まっている。

●このロジックは、大筋では納得ゆくのだが、上記のカッコ3だけはどうもすっきり腑に落ちない。著者はここを「エネルギー配分」という説明で切り抜けているのだが、不老不死がエネルギーとトレードオフになる理由が私には理解できなかった。

●結局、ある個体が(事故ではなく)寿命を迎えて死ぬとき、その個体になにが起こるのかは、今でもよく分かっていないようだ。そして、そこがハッキリしない限り、寿命をきちんと論じるのは難しいように思う。

●とはいえ、ひとりの研究者が真剣に考え抜いたアイデアというものは(少なくとも、アイデアも何もないのに新書を乱発している人たちの書いたものに比べれば)、傾聴に値するものを少なからず含んでいる。批判的(否定的ではない)に向かい合えば、必ず学ぶべき点がある。
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By tsunco トップ500レビュアー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
ゾウリムシ研究のスペシャリストの作品である。
寿命は真核生物の時代になって初めて出現した。
つまり、原核生物は不死であった。今もそうだが。この地球上での生物史全36億年の半分は不死の生命だけの世界だった訳だ。そして、16〜20億年前、真核生物が誕生しそれに伴って寿命も現われた。つまり、生命体は進化に伴って不死性を放棄したのである。不死性の放棄と見合うだけの、即ちトレードオフに値するだけのものを生命体は得たのか。それは一体何なのか?現在の定説では『不死性の放棄とトレードオフの結果、生物は遺伝的多様性を獲得した』である。環境の変化に対応する方策を手法に入れたと。筆者はこの定説に真っ向から異論を投げ掛ける。筆者の仮説は明快である。寿命、有性生殖の本来の意味は、遺伝的多様性を生み出す事などではなく、新しい自己をつくり、親世代とは異なる一生を歩ませる事にある。寿命とは『若返りによる新しい一生の再出発(Epigenetic Codeの解除・初期化)』なのだそうだ。成る程、説得力有りますな。

「生命システムは活動の促進と抑制のバランスである。」
そう言いながら、筆者は抑制系を殊更強調する。
・「生物の進化は細胞の持っている可能性を100%発揮させないように抑制を掛けてきた歴史である。」
・ 「進化するとは抑制系が進化するという事。」
だから抑制系が壊れると寿命が延びたりもする(線虫daf−2変異個体がよい例)。
生殖と寿命。永遠のテーマである。
「生殖活動がひと段落した中年以降、CRに何の不都合な事があろうか。」
井村先生のお言葉を思い出す。子作り・生殖が済んだら、個体(自分)の寿命延長に注力する小生で御座る(笑)。

併せて読みたい本は「Power,Sex,Suicide」(訳本は『ミトコンドリアが進化を決めた』)。2005年の英国Book of the Yearである。
エネルギープラントも有性生殖も、寿命もミトコンドリアが持ち込んだ。ミトコンドリアとの関係にもう少し具体的に触れて頂ければ更に嬉しかったので、星は4つ。
生命論、老化、寿命に興味のある方、皆様にお勧め出来ますが、専門用語に溢れておりますよ。どうぞじっくりと。
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