寿司が好きだ。たまらなく好きだ。そんな好きでたまらない寿司のことを知りたい。しかしなにから手をつければいいのかわからん!てなところで、この本に出会った。タイトルを見て、まずは寿司屋とはなんぞやから始めるのが手っ取り早いだろうと。
『私は多くの繁盛店を見てきましたが、やり方は違っても、お客の食文化を向上させるプロセスが必ずある、というのが結論です。』
このように、豊富なインタビューを元に、本書では、お客に満足してもらうために全国の高級寿司、回転寿司店が日々工夫を凝らしたアイデアがたっぷり詰め込まれている。徹底された接客法、内装の工夫、現場で働く人間の育成法、独自のネタの仕入れ方や目利きの仕方など、寿司に対する熱い想いが伝わってくる。だからこそ、知的好奇心が刺激され、寿司の食べ方一つとってもワクワクしてきてしまうのだ。巧みに形容詞を駆使して食べ物そのものを表現しているわけでもないのに、不思議と胃がギュルゥ〜っと鳴って寿司屋に行きたくなってしまうから、これはもうしょうがない。
『会計と満腹感のバランスのバランスによる満足度は非常に重要』なため、数グラム単位でシャリの重さに気をくばるというのは、なんとも神経を使う。高級寿司の楽しみ方として、旧暦の24節気を用いるのは、季節と共に食を楽しんできた日本文化の心が感じられる。海外寿司ブームの話は、国によっての味覚の違いを強烈に認識させられる。また、原油高の高騰などによって見えてきた、漁師さん達の苦しい現状にも触れられている。新書という少ないページの中でコンパクトに情報がまとめられているので前知識が全くないものにも読みやすく仕上がっている。
最後に、岡山にある「鮮寿」のオーナーである福瀬智広さんの言葉が印象的でしたので引用させていただきます。
『お客様の日常生活で味わえない、その店に行かないと食べられないものを提供するのは、店の使命です。大事なことは、店に行くたびに何か新しい発見があるような進化があることなのです』
複雑多岐にわたる「カラクリ」が生まれるのも頷ける。良書。