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対論 昭和天皇 (文春新書)
 
 

対論 昭和天皇 (文春新書) [新書]

原 武史 , 保阪 正康
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

在位六十四年、日本の現代史を体現する存在である昭和天皇。日中戦争にはじまる戦中期を経て、占領期、そして戦後の独立回復以降、天皇の“記憶”“御製”“祈り”の実態を論じるとともに、戦前の“時間”と“空間”の支配の本質を鋭く見抜く。そこには昭和天皇の“声”と“身体”という重大事が潜んでいた…!現代史ブームの火付け役となった『大正天皇』と『昭和史七つの謎』の著者が本格的に語りあった、異色の昭和天皇論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

原 武史
1962年生まれ。明治学院大学教授・国際日本文化研究センター客員教授。専攻は日本政治思想史

保阪 正康
1939年生まれ。ノンフィクション作家・「昭和史を語り継ぐ会」主宰者。近現代史をテーマとする作品を多数発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 245ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2004/10)
  • ISBN-10: 4166604031
  • ISBN-13: 978-4166604036
  • 発売日: 2004/10
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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25 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By picander トップ500レビュアー
形式:新書
昭和天皇は、調べれば調べるほど複雑な人物である。
日本の主権者、軍の大元帥、三種の神器の継承者、4兄弟の長男、
父親、戦犯、
色々な顔を見せつつ、それぞれの断片から我々が捕らえたと思った天皇像は、どれもわずかに、ずれている。
それほど昭和という時代そのものが複雑だったということだろう。

本書の2人は非常によい取り合わせだろう。
基本的には、原氏の研究テーマをフレームワークとして、
保阪氏が長年の在野の活動から得た知識を動員する、という構図でしょう。
主に原氏の研究成果でしょうが、
「視覚的支配」「時間的支配」「声の支配」といった、
天皇制を強固にするための様々な制度的工夫が、縦横に論じられています。
ここは原氏以前の研究者が踏み込んでいなかった領域であり、この分野は今後更なる研究を要すると思います。

特に、本書を良書たらしめているのは、
2人とも、昭和天皇を簡単に割り切れる存在ではないと
強く認識している点であり、その認識の強度によって、
イデオロギーからは自由な議論を展開できていると思います。
また、2人の昭和史の解釈は、およそ共有していますが、
昭和天皇への思いは、やはり微妙にずれています。
その点も読んでいて、興味深い点です。

様々な解釈や研究結果を開陳するものの、議論は結果収束しません。
そこで「結局なんなんだろう?」という印象を一部の読者は持つかもしれません。
昭和史と昭和天皇をリアルに認識するということは、
一流の研究者ですら、それほど迂遠なプロセスを経なければいけない、
ということがよく理解できる対談である思います。
間違っても「好戦主義者」「平和主義者」といった変なレッテル貼りは、
昭和天皇研究において、何も生まないということを再認識しました。

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11 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書でいう「対論」は論争ではない。二人の論者はそれぞれ土俵の上で技を見せあいはするがそれは相手を倒すための技ではない。それは選び出された数多くのトピックスに満遍なく言及するための工夫と思われるが、対象へのアプローチも一方が心情的であるのに対して他方は文献的であるという差異も見える。このような事情のために対論はしばしば不得要領のままに終っているが多くの問題について互いに共有はしないまでも各々がそれなりの結論に到達している様子も伺える。
いずれにせよ本書には多岐にわたる幾つもの興味深い事実が盛り込まれている。たとえば、天皇のカリスマ性の創出のための舞台装置-「声の支配」、「時間の支配」など-のために費やされた陰の支配者の苦心と労力は膨大なものであった。天皇の伊勢神宮への帰依の深さは当時であっても常人とは隔絶していた。天皇と貞明皇后、三人の兄弟宮、満州皇帝溥儀などとの間柄にも読者を引き込むものがある。成功しているとは言えないが御製を通じて天皇の真意を探ろうというアイデアも導入されている。
私には捕虜となってソ連から中国に引き渡される時の溥儀の行動が印象に残った。彼は中国領に入る直前、それまでの豪華なオーバーから労働服に着替えた上で表情までみすぼらしいものに変えたという。この話を伝えたロシア人通訳は「皇帝とはこういうものかと思った」と述べたという。この話を紹介した論者は「この点で天皇との違いはありますね」と述べる。果たしてこのように言い切れるものだろうか。
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