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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
『読み込む力』ということ,
By くま (岡山) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 対話の回路―小熊英二対談集 (単行本)
この本でやっと、小熊英二の仕事のし方もある程度分かってきた。彼の力は『読み込む力』なのである。村上龍との対談を準備するためにまずは20冊読んでみたらしい。その上で対談する気が出て初めて臨んでいる。いざ対談が始まると、最初は村上から対談依頼があったにもかかわらず、内容はすっかり村上龍の小説の分析という形になってしまった。村上も相当突っ込んだ質問にきちんと応えている。それはすなわち小熊の読みこみが深いからに他ならない。 小熊は村上から『小説家になりたいと思ったことはなかったのですか』と聞かれる。『(世界を揺るがすような言葉を)私は創れないから歴史的な資料から力のある言葉を探して書くしかないんだと思います。」 その気持ちよく分かる。けれども才能がいることも分かる。
19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ちょっと一言では言えません……。,
By 金子市 (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 対話の回路―小熊英二対談集 (単行本)
私もそうですが、冒頭の村上龍氏との対談、さらに亡くなった網野善彦氏との対談は、すでに文庫化、単行本化されているので読んでいる方も多いでしょう。もちろんこの二篇の対談が面白いことはいうまでもありませんが、私がこの本を買った理由は今回初めて本になったその他の対談を読みたいがためでした。9.11後の島田雅彦氏とのそれぞれの基調報告を含む対談では、小熊氏は自身の近代日本の研究成果からこの事件を論じていて、特に「自衛隊もまた、アフガニスタンのムジャヒディンなどと同じように、冷戦体制の中でアメリカが自身の補完戦力として養成してきた軍事力だ」という指摘はとても重要だと思いました。 民俗学者の谷川健一氏との対談では、網野氏のときよりさらに突っこんだ質問をしていて、読むほうも少しひやひやしないこともないですが、続く赤坂憲雄氏との対談と合わせて、柳田國男の持っていた政治意識が、戦後の民俗学から失われたと小熊氏が考えていることがわかって興味深く読みました。 しかしなんと言っても最大の収穫は、石原慎太郎は日和見主義者である(この本の中で直接そう言っているわけではありませんが)ことが、小熊氏の指摘でよくわかったことです。メディアで目にする保守派や右翼の言葉に釈然としないものを感じている方にお勧めしたいと思います。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
稀有の対談集,
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レビュー対象商品: 対話の回路―小熊英二対談集 (単行本)
まず、この本の購入を考えている方が、小熊氏の他の著作を手に取ったことがないとはとても思えないが、万が一初めて小熊氏の著作に触れる方であれば、是非「三部作」は読むべきである。もちろん、「インド日記」や、本書でもたびたび引用される「『癒し』のナショナリズム」も強くお勧めである。 鶴見俊輔氏との対談(上野千鶴子氏も同席)「戦争が遺したもの」からも予想できるように、小熊氏は対談の達人である。対談とは、ある共通認識を持った複数人が、ずれた認識の部分に触れ合うことで自分でも気づかなかった側面を引き出される、これこそが醍醐味であると考える。残念ながら、出版されている対談集のうち大部分は単に共通の意見を述べあうだけで満足しているか、あるいは反発しあって対話にならないかどちらかである。しかるに、小熊氏は奇跡的な精度でこの困難な作業に成功している。 とりわけ前半部分の対談が圧巻である。村上龍、島田雅彦両氏との巻では、現代社会、現代政治を考える上での重要なヒントが珠玉のようにちりばめられている。網野、谷川両氏との巻では、あえて失礼?を省みず、果敢に疑問をぶつけ両氏の認識をはっきりさせようとする姿には感動すら覚える。誠実に対応する両氏、特に惜しまれつつ亡くなる直前の網野氏の謙虚な姿勢にも頭が下がる。 対照的なのは小熊氏自身がインタビューされる側となる上野千鶴子氏との対談である。「戦争が遺したもの」から類推される通り、小熊氏と上野氏とのインタビュアーとしての能力の差がはっきり歴然としてしまっている。端的に言って対談としては全く面白くない。もともとわたくしが上野千鶴子という著述家を評価していないことを割り引いても余りあるものがあるように思われる。 結論は、もちろん「買い」である。
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