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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「人は愛に生きて、消滅するものを愛するのだ。ほかに何を言うことがある?」,
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レビュー対象商品: 対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫) (文庫)
W・B・イェイツ(1865-1939)は、アイルランドを代表する詩人・劇作家です。1923年にノーベル文学賞を受賞。早くから日本文化に注目したヨーロッパの知識人のひとり。知名度に反して、あんまり読まれていない気がするけど。
岩波文庫版の『対訳イェイツ詩集』は、ロレンス・ダレルやジェイムズ・ジョイスの訳業で知られる英文学者の高松雄一が翻訳と編集を担当。時代とともに作風がめまぐるしく変遷して、読み解くことの容易でないイェイツの全詩集から、多彩な54篇を精選して、詩人の全体像をコンパクトな対訳詩集にまとめた労作です。 高松先生は、一見直訳風でなおかつ明晰な日本語に訳しておられますが、たぶん訳詩を読んだだけでは意味のわからない個所がたくさん出てくるのではないかしら。もちろん、原詩のもつ音楽性は、英語で読まないと感じられない。私は、今年の夏の猛暑の日々に、本書の英語の詩と日本語訳を往還しながら充実したひとときを過ごしました。個々の詩の内容についての解説や細々とした脚注は極力省かれていますが、理解しがたい個所に出くわしたら、自分の手で徹底的に辞書を引いて、とにかく考えて考えて考え抜くことですね。焦りは禁物。まわり道こそ近道。英語のネイティヴの人に疑問点をぶつけても、満足のいく文学的な回答が得られることは稀ですから。 《懐かしい影たちよ、あなた方はもう おおやけの悪や正義などと戦うのが どんなに馬鹿げているかよく御存じだ。 清純な人や美しい人の敵は 時間のほかにはないのだよ。》 (Dear shadows, now you know it aii,/All the folly of a fight/With a common wrong or right./The innocent and the beautiful/Have no enemy but time) これ一冊で多面的かつ豊饒な詩人イェイツの世界のすべてを捕捉しようとするのはいささか無謀であるにせよ、読みごたえのある手頃な入門書として、おすすめです。
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
詩のチョイスと翻訳が気が利いてます,
By 虹鱒 (NIPPON) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫) (文庫)
最高です!
前々からイエイツは大好きで、詩集としては初めて購入したのですが最高です! イエイツ本人の詩がすばらしいのは当然ですが、チョイスも気が利いています。 「The Song of the Happy Shepherd」(幸福な羊飼いの歌 18-19) 「He wishes for the Cloths of Heaven」(彼は天の布を求める 82-83) 「The Second Coming」(再臨 148-149) 「Under Ben Bulben」(ベン・バルベンの下で 316-327) などなど、有名なものを抑えつつ、編集者の趣味に過ぎない程度で渋いのも抑えてあり、 イエイツが若気のいたりから晩年まで、いかにぶっ飛んだ詩を書いていたのがよく分かります。 さらに翻訳も「対訳という性格上、訳文は直訳を基本と〜」(5)と書いてありますが、正解だと思います。 個人的な趣味ですが、「He wishes for the Cloths of Heaven」(彼は天の布を求める 82-83)の6-8行の、 「But I,being poor,have only my dreams; (だが貧しい私には夢しかない) I have spread my dreams under your feet; (私はあなたの足元に夢を広げた。) Tread softly because you tread on my dreams.(そっと歩いてくれ、私の夢の上を歩くのだから。)」 これが最高です。ここでピンと来た人にはイエイツはお奨めできます。
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
政治性と音楽性,
By 魏 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫) (文庫)
政治性について言えば、イェイツの立場は複雑です。アイルランドの伝承に根ざすとは言え、自信はアングロ・アイリッシュであり、場合によってはケルト系に対する敵意さえ持っています。
さらに詩人という立場から、中産階級に対する敵意さえ有り、こういうある意味危ない立場が、日本の大江健三郎に似ているのかもしれません。 音楽性。イェイツの詩は、韻を多用するリズミカルで流麗なものです。私は昔フランスの詩をかじったころ、西洋語の韻律に凝り固まっていました。しかし今はもう、韻律に大した魅力は感じません。日本語では韻を踏むのはうまくいかない場合も多いからだし、やはりすれっからしになってくると、文学表現に疎くなってくるものなのかもしれません。心が散文的になってくるのかも。 編者高松雄一の解説によれば、 「詩の主題は自分自身の内面について、あるいは自分を通して見たアイルランドの現状についてである。(中略)この葛藤は社会、政治、文化の混迷と深くかかわっていたから、心理の迷路を内なる口論というかたちで外在化するのがよりふさわしくもあった。イェイツの語法は確立した。」 詩人は徐々に孤独になっていって、内面の口論に没頭していったものと思えます。しかし若かりしころに比して、深みを増しています。私は「塔」と「一九一九年」が好みです。殺伐としたイメージの中にも豊かさというものが存在しています。
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