本書は現実的および具体的で、双極性障害そのものに対する、深い理解が得られます。
その治療の一環として「対人関係療法」の有効性が提唱されていますが、解説が具体的で分かり易いです。
本書は高度な専門性を有さないものの、双極性障害で悩んでおられる方と、その周辺の方が、高度な知識が得られます。
本書全体が、病気の本質をまず正しく理解するという姿勢に貫かれています。
治療法は、最新の知見が紹介され、治療法も正しく理解する必要性も強調されています。
その上で、バラエティの大きな双極性の症状に対して、長期に渡る治療法を、専門家とともに模索する事とされます。
双極性障害の治療に対する取り組みは、近年急速に充実の度を強めています。
そのため近年では、良好な状態の維持が行い易くなりましたが、本書の内容は、それをさらに強化します。
ただ、本書を執筆する側の知識のソースが、アメリカ一辺倒となっています。
北米、東アジア、欧州などの取り組みが、総合的に紹介されている訳ではありませんが、アメリカの取り組みが先進的であるのも確かです。
本書では、薬物療法の重要性は、非常に強調されていますが、具体的ではありません。
この具体的では無いところに、かえって価値を見いだします。
薬物療法では、どの薬剤が効果的だとかいう「個人の」情報が、ネット上で反乱しています。
これは、あくまで一個人の情報であり、症状は十人十色であるので、薬物療法は総合的な判断の上で行うべきものです。
本書が出版された2010年の時点での、非定型薬(ジプレキサ、セロクエル、エビリファイ、リスパダール、ルーラン、ロナセン)に関して、
その有用性に対する臨床試験経過は、各国各大学で異なり、まだ断定的な結論は限定的である事に留意する必要があります。
本書では、あえてこういった具体的記述を避けて、混乱を回避しようとしている様にも見受けられます。
極めて辛い双極性障害を如何にして克服するか?
専門家の立場からは、一部突っ込みたくなる様な部分もあるにはあります。
しかし、本書は紛れもなく、非常に優れています。
本書には、双極性障害で悩んでおられる方の、人生を好転させる力があります。