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対人援助職のための認知・行動療法―マニュアルから抜けだしたい臨床家の道具箱
 
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対人援助職のための認知・行動療法―マニュアルから抜けだしたい臨床家の道具箱 [単行本]

原井 宏明
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

CBT(認知行動療法)とは、臨床場面での患者の行動の変容を目的として、行動科学を応用したものである。現在、CBTは、心理療法という領域においてエビデンスの王者の地位を確かなものにした。本書は、CBTを臨床で使った場合の実例を症例を通じて示すようにした。症例の中で治療を進める過程の考え方や情報の探し方を示し、さらに各章の終わりには演習問題を用意して、読み手が自分で意味を解釈し考え抜くことで評価と治療のテクニックを身につけられるようにデザインされている。著者が臨床現場からフィードバックした多くのスキルをわかりやすく解説したものであり、脱・マニュアルを目指す対人専門職のための恰好の手引き書となるであろう。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

原井 宏明
1984年岐阜大学医学部卒業、ミシガン大学文学部に留学(文化人類学専攻)。1985年神戸大学精神科で研修。1986年国立肥前療養所に就職、山上敏子先生から行動療法を学ぶ。1998年国立菊池病院に転勤。精神科医長。うつ病や不安障害、薬物依存の専門外来と治験などを担当。2000、2001年にハワイ大学精神科アルコール薬物部門に留学。2003年臨床研究部長。2007年、診療部長。2008年医療法人和楽会なごやメンタルクリニック院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 258ページ
  • 出版社: 金剛出版 (2010/12)
  • ISBN-10: 4772411658
  • ISBN-13: 978-4772411653
  • 発売日: 2010/12
  • 商品の寸法: 21.4 x 15.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
上級者 2011/12/24
形式:単行本
本書は第三世代の行動療法をベースにおいて書かれている本である。第三世代というとマインドフルネスやアクセプタンス・コミットメントなどが頭に浮かぶが、基本的には第一世代への回帰、徹底的な行動主義がその本質にあるようだ。そして第二世代の「認知」ということに対する批判もそこには含まれている。

著者の原井は熊本の山上敏子先生の指導の元で行動療法を学んでおり、その影響を強く受けている。それは本書のあちこちでも見られるところである。行動療法を方法として位置づけ、そこに特別の価値観や大理論をすえることなく、如何にケースに適用していくのかをトコトン考える姿勢はまさに山上流と言える。

そして、副題に「マニュアルから抜け出す」というだけあり、基本的な行動療法の概念をある程度は知っていることを前提にして書かれているので、中級者・上級者向けであると言える。CBTは疾患別にパッケージが作られているところもあるが、それを鵜呑みにして機械的に適用していくのではなく、行動療法の基本的なことをしっかりと見につけ、そこから実践に応用していくことが大事であると著者は語っている。

また、第6章では疾患別の説明があり、そこではパニック障害に対するエクスポージャーとして、「内部感覚エクスポージャー」が紹介されている。パニック障害は広場恐怖を伴うことが多く、エクスポージャーもその恐怖場面に出向くことを課題にすることが多いだろう。しかし、本書では内部感覚そのものに対してエクスポージャーをしており、その点で般化を促しやすいのかもしれない。具体的にはカフェインを飲む、回転する、高いところから飛び降りる、などの内部感覚を活性化することを繰り返し行い、その感覚をじっくりと体験することを行っている。

さらに同じく第6章ではベンゾジアゼピンの常用量依存に対する行動療法も紹介されている。ベンゾジアゼピンは比較的安全な抗不安薬であるが、安全であるがゆえに安易に処方され、安全であるがゆえ、繰り返し服用されてしまうことが多い。その為、ベンゾジアゼピン依存を作り出してしまうのである。これに対する行動療法も行われているが、その過程ではやはり薬の調整ということも行わねばならないので、薬を自由に調整できる医師が実施することがやはり良いのかも知れない。薬を扱えない臨床心理士がベンゾジアゼピン依存に対する行動療法を行うのは少々難しいようにも思う。
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形式:単行本
 著者の原井医師は精神科医であり、我が国有数の行動療法家の一人です。うつや不安障害、ことに強迫性障害の治療者としては屈指です。
本書は認知行動療法を、対人援助職にある方々が、実践で活用していかれることを目的に書き下ろされています。
 精神医療というもののスピリットと、認知行動療法(あるいは広く行動療法)の理解を、実際に沿って、常に具体的にイメージしながら深めていくことができます。ちょうど、数学のテキストの「定理・公式」のように、キーポイントが「指針・概念」として、すっきりと整理されて示される体裁になっていて、親切な書き方です。
読者の実践場面と照らし合わせ、疑問を持ちながら読み進まれることをお勧めします。所々に演習問題が付されているので、こうした読書態度を保つ助けになっています。
 本書には、著者の26年間の実践と研鑽で培われてきたもの全てが盛り込まれているようです。いわばその手の内を包み隠さず開陳されている、雄心の著作です。
 いくつかのコラム記事にも、目的、意味があり、お座なりに読み飛ばすことはできないでしょう。(これは著者の診療での面接スタイルに通じます。短い、ちょっとした会話にも、目的、意味がある。)演習問題の解答まで読み進み、この解答のところでまた読み応えがあることを感じられると思います。(一点、解答欄に、問題の頁ナンバーが記されていると、参照し易いのにと思われました)
 当レビューアーは強迫性障害を持つ患者の家族として、実際に原井医師のお世話になりました。当時、家族は治療者探しに困っていました。頼りの情報として確からしいのは主に米国OCD基金のオンライン情報でしたが、著者のところではそれらの知識が、既にこなれた実践治療に応用されているのに驚きました。また、参加していた米国のオンラインの自助グループで、動機づけ面接が有効である旨を勧められましたが、当時既に著者は動機づけ面接も活用されていました。(本書で動機づけ面接についても、理解を深めることができます。)その後は患者も家族も、治療を受け入れるための、自身の「準備」を整えるのに時間が必要でしたが、現在、患者は多少の症状は抱えたまま、本来の生きる目的を優先させた生活を送っています。家族との日常会話から強迫に関することは消えました。これには原井医師を通じて学んだアクセプタンス&コミットメントセラピーACTの力があります。
 ACTについても本書で学ぶことができます。オンライン自助グループでACTについても紹介されましたが、やはり、このとき既に著者のところでは治療に取り入れられていました。新しい、有効なものが、実際の臨床場面での必要性から採られていくのを目の当たりにした感があります。本書の読者は、どのような常の態度が新しい、有効なものを捉まえる力になるかを考えることができるでしょう。
 本書を英訳しても、きっといいものができるだろうと想像します。
 ある医師に行動療法というものが良さそうだがと、尋ねたとき、その医師は行動療法はよく知らないが、本当に良いものであればもっと普及しているはずで、そうでないというのは、それなりのものなのではないか、と言われました。一昔前の話です。そして、その医師の経験上、強迫性障害を含め、不安神経症辺縁の問題は長引くが、十年くらいたってひょっこり会ったときに、ずいぶん良くなっていることがある。それは、本人にその気、治す気が出たときだ。本人がその気になった時には目覚ましいものがある、ということでした。今にして思うと、これはそのまま、行動療法の基本を示す言葉でした。あの医師は行動療法はご存知ではなかったけれど、日々の実践のなかで、行動療法の根本に通じるものを見ていらしたわけです。治りにくいが、目覚ましい例もあるという点に疑問を抱かれ、そしてその時、本書が手許にあったら、どのような展開があったろうかと、思いました。
 文字をいくら尽くして推奨しても始まりません。読んだだけでは文字に過ぎません。多くの読者と、そのなかの多くの方々が実践に活用されますよう。
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