寺山修司氏は唐十郎氏とともにアングラ世代の兆児であり、その幻想性あふれたイメージのコラージュと土着性あふれるアバンギャルド性は映画(ビデオ)の「田園に死す」を見れば、明かであろう。きわどい世界なので一般人向けの作家ではないと誤解されていたように思える。作家としては夭折というほど若死にではなかったが、才能とイメージの多様性から感じるに、お元気でいられれば、唐十郎氏が大学で講義をするというこの時代、まだまだ変貌したのではないかと、死んだ子の歳を数えるような気分にとらわれる。
本書は平凡社の手により、全盛期の劇作品を現代の古典として出版されたものであるが、内容も現代からみて古びておらず、原書が手に入りにくい現在での出版に敬意を表したい。