江戸時代に公用文に用いられた御家流という書体の文書を読むことを目標にした入門書です。予備知識ゼロでもこの本によってある程度は古文書が読めるようになります。ただし、江戸時代の人々は皆が同じような模範的御家流で書いていたわけではなく、個性もあり、下手な字や癖のある字もあるので、この本の例を覚えたあとは沢山の古文書を見て経験を積んで行く必要があります。
初心者に優しく、徐々に必要な知識を積み上げていけるように構成されています。明治時代の小学校の教科書を例に使って現代とは違うかな文字をいくつか紹介するところからはじまり、絵草紙、活字で書かれた候文、寺子屋の教科書、借金の証文、離縁状、東京の多摩地区に残された江戸時代の公用文などと続きます。良く使われる文字や決まり文句には詳しい解説が付いています。そして取り上げている文書の背景の説明も行き届いています。
本書の特徴として、なるべく文書の全文を収録するようにしていることがあります。そのために初心者では読めないような箇所も多くある訳で、これが却って古文書に慣れるには良いような気がします。