お寺に生まれた三姉妹を主人公にした少女漫画。月刊誌「クッキー」に断続的に掲載されている作品のようで、この第1巻では三姉妹のうち二女と三女のエピソードを収録。一の巻で描かれるのは、二女の光里が一目惚れした転校生はキリスト教の牧師の息子だった……という禁断の恋の物語。二の巻では三女の拝美が、寺が一番忙しいお彼岸に彼と遊園地デートに行こうとする話が描かれる。
寺ものの作品としてはお寺にまつわるウンチクが少ないとか、主人公になった少女以外は物語の進行に合わせた平板なキャラクターになってしまっている点が気になるのだが、こうした部分が弱点かというと、そういうわけでもないのかもしれない。読者は作品にお寺や宗教のウンチクを求めているわけではないだろうし、主人公以外が平板なキャラクターになってしまっているのも、作品のテーマが主人公たちの内面的な葛藤を掘り下げることにあると考えればこれでいいのかもしれない。思春期の少年少女というのは多かれ少なかれこうした「一人称の世界」で暮らしているのかもしれないし、この「一人称の視点」が強調されているからこそ、この作品が特にお寺や宗教に興味のない読者を惹きつける材料になっているとも思えるからだ。(少女マンガ誌で宗教解説マンガを連載したってしょうがないしね。)
二女・三女の物語に区切りが付いて、長女の物語は第2巻に掲載予定。その後は主人公たちの内的葛藤の世界ではなく、姉妹や家族の中で生じる人間同士の軋轢や葛藤も描いてほしいと思う。1巻を読む限りでは父親は出てくるけれど、母親の影が薄い。母親と姉妹の葛藤や確執というのはあってもよさそうな話。この家族が両親と三姉妹という「核家族」なのも気になるところで、父親の先代住職やその妻(三姉妹にとっては祖父母にあたるのかもしれない)はどうしたのかや、父親の弟妹(三姉妹にとっての叔父や叔母)は三姉妹をどう思っているのかなど、話を広げていこうとすればいくらでも広げられるのではないだろうか。もう少し、家族の話が読みたいなぁ……と正直思うのだ。