1966年刊行以来、長年親しまれてきた版ですが、光文社のタイトルを変えた新訳、
『訴訟』では、構成が大幅に変わっています。
従来の本作は、原稿を預かったカフカの友人、マックス・ブロートによる恣意的な編集がなされているとして、光文社版では近年の研究、全集に従った新たな訳を試みています。
このあたりの事情については、光文社版の解説、レビューやWikipediaに詳しいので、それらにお譲りします。
もともとの原稿は順番がはっきりせず、未完成の作品なので、あの衝撃的なラストも、新訳では主人公の夢とも解釈できるとのことです。ナチスによるユダヤ人迫害の予見という解釈も、やはり解釈の一つということでしょう。
中野孝次訳の1992年刊
新潮文庫版新訳 が現在入手できないのも、こういった事情も関係しているようです。
(ちなみに私が昔読んだのは1971年刊
新潮文庫旧版 の原田義人訳でした)
しかしドラマティックな展開の、この旧版もそれなりに捨てがたいので、よく比べて選んでみることをおすすめします。