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寝ぼけ署長 (新潮文庫)
 
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寝ぼけ署長 (新潮文庫) [文庫]

山本 周五郎
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。ところが、いよいよ他県へ転任が決ると、別れを悲しんで留任を求める声が市民たちからわき起った…。罪を憎んで人を憎まずを信条とする“寝ぼけ署長”こと五道三省が、「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、痛快奇抜で人情味あふれる方法でつぎつぎと解決する。山本周五郎唯一の探偵小説である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

山本 周五郎
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文芸春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞。’58年、大作『樅ノ木は残った』を完成。以後、『赤ひげ診療譚』(’58年)『青べか物語』(’60年)など次々と代表作が書かれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 388ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1981/08)
  • ISBN-10: 4101134359
  • ISBN-13: 978-4101134352
  • 発売日: 1981/08
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 現代風周五郎, 2005/2/20
By 
レビュー対象商品: 寝ぼけ署長 (新潮文庫) (文庫)
 山本周五郎唯一の探偵物。時代も昭和初期っぽい。しかし、周五郎らしい人情味あふれる話で、十分に山本周五郎を楽しむことが出来ます。ほかにもミステリー要素の強い話もありましたが、この作品は何かが違います。
 主人公(?)である寝ぼけ署長は一癖も二癖もある人物ですが、人並みはずれた深い人情にあふれていて、周五郎の理想とする人物をうまく投影できているのではないでしょうか?「赤ひげ診療譚」の赤ひげにどことなく通ずるところもあります。
 新鮮だったのが語り手。寝ぼけ署長の付き人のような人物が一つずつ事件を語っていくという形を取っています。ほかにもありそうで少し雰囲気が違う感じがして新鮮でした。周五郎の筆力のなせる業なのでしょう。
 違和感がありながら、妙に納得してしまう寝ぼけ署長の人柄が堪らなく良い作品です。「赤ひげ診療譚」と一緒に読むことをお勧めします。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 周五郎が描く現代小説の傑作, 2004/7/21
By 
ai0610 (茨城県つくば市) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 寝ぼけ署長 (新潮文庫) (文庫)
 個人的にこよなく敬愛する周五郎ですが、現代小説はあまり嗜好にあいわないと考えていました。しかし、同じような先入観を持っている人も気にせずに読んでみてください。

 寝ぼけ署長とあだ名される主人公が着任から離任まで、10の事件を解決し、それぞれが読みきりの短編の形をとっている。

 頓知をきかせコミカルに、そして周五郎独特の人情味あふれる物語は、読む者をあきさせませんし、少し目頭を篤くもなります。

 この署長はけっして犯罪者を生み出そうとしない。無論、犯罪者が存在しない社会などあり得ないし、社会が奇麗事ではすまされない事実を作者はよく理解している。

 文中にある署長の言葉だ

「犯罪は懶惰な環境から生まれる、安逸から、狡猾から、無為徒食から、贅沢、虚栄から生まれるんだ、決して貧乏から生まれるもんじゃないんだ、決して。」

 罪が生まれる姿は、社会を映す鏡なのだと、考えさせられる作品です。

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5つ星のうち 4.0 ミステリ色は薄めだが、著者らしい佳作揃い, 2011/6/12
By 
(横浜市) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 寝ぼけ署長 (新潮文庫) (文庫)
文豪、山本周五郎が生涯に唯一遺した「探偵小説」。
それが、本作品です。
作品そのものはかねてより知ってはいましたが、数々ある「ミステリ・ベストテン」に挙げられていることも窺えず、これまで読まずに来ましたが、著者の名を冠した文学賞受賞作を読んだりしているうちに、思わず手の出てしまった作品集。

どこかの県庁所在地にある警察署で、「寝ぼけ署長」とあだ名されていた五道三省。
彼は、重たい体を持てあまし、いつも寝てばかり。
在任中は、事件発生が少なく、大過なく過ごしていたと思いきや、じつはとてつもなく有能であったため、事件を未然に防いでいたのだった。
そのことを、側近であった「私」が10の短編に託して綴っていく…そんな趣向の短編集となっています。

率直に言って、ミステリ色は薄め。
「密室トリック」をテーマにした作品もありますが、とてもあさっりしたもの。
特別意外な犯人がいるわけでもなく、本格ミステリやパズラーなら一番力量が試されると思われる、「巧妙な伏線」がある訳でもないです。
−−と言っても、けなしているわけではありません。

著者の作品に期待するのは、やはり、「人の情」であり、「貧しくても清い心」でしょう。
「寝ぼけ署長」は、そんな著者の作風を体現するために創造された理想の人物。
罪を憎んでも人を憎まず、深い情感を持って、事件に接していきます。
事件を通して明らかにされる人の情念と言ったものに、深く感銘できる作品ではないでしょうか。

ところで、巻末には、昭和期に多くのミステリ書評を書いていた人物の解説が載っているのですが、決して、最初に読んだりしないでください。
各短編の結末をかなり明らかにしているからです。
ミステリ色が薄いとは言え、やはりミステリは結末が命。
昔はあるいは、「あとがき」と同様に読後に読むものというルールがあったのかもしれませんが、是非ともご注意ください。
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