洋書ファンにはとにかくお薦めです。N. DeMille, P.Cornwell, J. Grisham, T. Clancy, D. Francis...といった作家が次々に紹介され縦糸となり、著者の該博な知識と経験とが横糸となって読者を引きつけて離しません。まさに"page-turner"です。児玉さんは作者の一連の作品に流れる通奏低音を聞き逃しません。単に作品の紹介にとどまらず、作風の変化や作品が社会へ与えるインパクトについてまできちんと分析しています。私はT.ClancyはThe hunt for Red Octoberが最高で、以後の作品には強いアメリカを意識した鼻持ちならない大国主義が見え隠れして閉口だと思っていました(全作品を読んでいますが)。特に日本と日本人が相変わらずPearl Harbourのイメージで捉えられている気がします。児玉さんは冷静に「クランシーの意図は一体何で、どこからきているのか?読者の興味を引き、喝采を受けるための格好のターゲットが日本だと彼が考えているとすれば...」とやんわり釘をさしています。
この本には読む楽しさを語る熱気であふれています。「そうそう、最後のどんでん返しには驚いたっけ」と相槌をうち、「よく言って下さった。この作者の作品は途中でやめられなくなるよね」と共感すること請けあいです。
ただ、この本には猛烈な副作用があります。まだ読んだことのない作者の作品が紹介されていたら...そうです。すぐにその本を注文してしまいます。私は家内の眼が恐いので、注文した本の配送先を職場に指定しなおしました。