アニメ雑誌の連載されているものの様ですが大人向けの雑誌に掲載されていても何ら不思議ではないレベルの高い内容です。
著者は広く多くの事柄について深く追求されている様子で非常に納得のいく回答です。
甘えに対しては徹底的に厳しく突き放し、病気などの仕方が無いと思われる状態に対しては非常に優しく接しています。
恐らくアニメ業界は職人的な側面が強い世界でしょうから個人の10年の過ごし方が実力に対し如何に差を付けるかが分かり易く出てしまうのでしょうし、甘えが習慣である事等、著者は身を持って知っておられるのでしょう。
私はこの本からは著者の優しく、繊細で真面目な性格と葛藤してきた事の多さを感じました。
やはり経営者でもクリエイターでも一流と呼ばれる人は違うなあと思いました。
著者やガンダムを知らない人にもお薦めできる一時代を築いた男の生き様が窺い知れる良書だと思います。
以下、書評から外れます。
私はガンダム世代のど真ん中という年齢ですが著者の人柄などは良く知りませんでした。
この本を読む事にしたのは劇場版のZガンダムを見て親子関係と女性の描き方に驚き、著者がどういう人物か知りたくなったからです。
合わせて著者が40歳の時に書いた自伝である「だから僕は・・・」(古書)も読みました。
魔性の女に振り回されたり、負の感情を持ちながらも競合者から何かを得ようとしたり、著者の現在の考えに至る過程の一部を知る事が出来ます。
両親の事について多くは語られていませんが充分に想像出来ます。
私は自分自身の生まれの特殊さもあり、他者の環境や社会との戦い方に非常に興味があります。
著者が何故ドラマ指向なのか?何故、黎明期のアニメ業界に身を置いて悪戦苦闘しようとしたのか自分なりの理解が出来ました。
Zガンダムの様な異様に生々しいドラマも著者に必要なものだったのでしょう。
成功したが故に抱える苦しさもあったのでしょうし著者には長い葛藤の時期が続いたように向けられますが、この数年の写真の表情が突き抜けたような明るいものに感じられ私自身も救われた様な気がします。
最近、ヘンリーダーガ―の映画を見て思ったのですが創作の一つの役割は魂の救済であると感じました。
現在のネットが普及した世界は嫌な事も多いけれども、創作した者を発表できる場を簡単に得られる事は非常に良い事だなあと思いました。