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この小説は戦時下における精神病院という特殊な環境を舞台に、正常者と精神病者を分け
る境目とは何なのかを問う。「普通」や「正常」に対する絶対的、かつ客観的基準など到
底望むべくもないが、それでも何とかそれを掴もうと煩悶する主人公の姿は真摯で、どこ
か滑稽だ。
細部まで丁寧に描きこまれており、臨場感溢れる文体は見事。また、戦時中の精神病院と
いういかにも暗そうな舞台設定だが、内容はむしろあっけかんとしており、かなり笑える
場面もあるので、「重そう」と二の足を踏んでいる方は心配無用である。
ページ数の多さやテーマに物怖じせずに、是非とも手に取ってもらいたい。楽しく読めて
唸らされる、お勧めの一冊。
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