キャッチコピーがいい。「そうだ、ぼくらには富士山がある。」
初めて書店で見たときは、ナンジャ・ソレと思った。だがいつまでも頭の隅に引っかかって、とうとう買ってしまった。
一話目はコミュニケーション不全症候群の話で、田口ランディっぽいな、と思った。でもオウム真理教がからんできて、富士山が無理なくうかんできたところでは、感心した。二話目のオカルトめいた話でも、樹海っていう面白い題材で、いつものテーマに奥行きがあった。
ゴミ屋敷やアダルト・チルドレンなど現代の問題だけでなく、中絶という使い古された題材にも堂々と向かっていて、力強い。
現代に絶望したり皮肉ったりするだけでなく、たとえ不器用であっても、具体的に希望を提案するのは素晴らしい。
確かに、「ぼくらには富士山がある」。