淡々としながら飄々と、ユーモアを交えて描かれており、ハードボイルド小説のように楽しめる。密航のシーンなどはハラハラドキドキさせられ、エンターテインメント性も十分だ。そしていろいろなことを考えさせられる。航空券が譲渡できないことを不便に思ったりしていたが、それは他国へ入ることの重みがわかっていないからだった。出入国に困難を感じたことがないからだ。「国籍」というものの意味などあまり考えたこともなかったが、日本に生まれたことの価値を思い知らされた。
難しい言い回しと誤用とのギャップが少し気になったが、それも筆者の海千山千な感じを表している気がする。歴史や地理の知識を見せるウィットも多く、読んで後悔することはない一冊だ。