同じ仏教でも、一般的に知れ渡っている顕教に対してちょっとマイナーで怪しげな感じのする密教。その密教の発生論、日本密教とチベット密教の異同、曼荼羅や密教の世界観などについて解説しており、最後の方では、欧米の近代合理主義が依って立ってきた二元論だけでは対応し切れていない昨今の様々な問題に、密教的な一元論がそれを補完できるような思考形態を提示できるか可能性について触れて締めています。
大乗仏教をベースとしながらも、チベット密教はヒンドゥ教を、真言や天台の日本密教は中国で律令制度の影響を受けながら現在の姿を形成してきたかがよく分かりますし、密教だけに限りませんが、布教浸透段階での土着信仰との融合による変形も納得できました。色々なインチキ宗教の教義や儀礼に利用されやすい密教ですが、中途半端な知識に騙されない為にも読んでおきたい一冊ですね。