「王手飛車取り」を1.0とするならば、1.0、2.0と続いてきた「密室殺人ゲーム」シリーズの「2.5」にあたる外伝的作品。
設定のインパクトは1.0が一番強いが、2.0の方で本格ミステリ大賞を取ったのがミソ。順に読んできた読者なら、2.0が出た時点で驚いたはず。あの1.0の終わり方で、どうやって続編が……、と。それを見事にやりおおせたから2.0で本格ミステリ大賞の受賞に至ったのだと思う。
このシリーズは設定にばかり言及されがちだが、1.0と2.0に共通するのは、短編集でありながら、1冊全体で1つの長編になっているところ。受賞時の著者の発言では、このあと三部作のまとめである「3.0」に相当する作品が書かれるはずだが、正直、きついだろなあ、と思う。1.0では、ネットワークは5人の主人公達を結びつける道具であったが、2.0はネット社会全体に枠を広げることで作品が可能になった。今回の2.5は2.0を踏まえているので、物語成立のハードルが2.0より高い。一応、ハードルは越えているので、単体作品として★4つ以上でいいとも思うのだが、1.0、2.0と比較すると、このシリーズのもうひとつの魅力である、良質の短篇の積み重ねが弱い。まあ、分量的に、前2作の約半分なので仕方ないかという気もするが、やはり、あともうひとつは「おおっ」と思わせる短篇が欲しい。
で、結果的に★3つにしようかとも思ったが、この後にきっとでるはずの3.0に期待を込めて★4つ。
3.0では、葉桜や2.0以上にわれわれを驚かせて欲しい。