単行本を改訂、新書化したものです。世界初のミステリ「モルグ街の殺人」が書かれて170年、しかも不完全ながら密室物でした。以来、密室物は多数書かれてきましたが、その魅力や可能性が出し尽くされたわけではありません。この本の著者有栖川さんは、本格ミステリの第一人者、安井俊夫さんは、1級建築士で、犯行現場の作り方の著書があります。
そんな2人が、密室はいかなるものか、密室の分類、密室を建築から考える、作家が知りたい建築事情、ミステリと建築の密接な関係、密室の未来の全6章で対談形式で密室に関して色々述べています。
安井さんは建築家であるが、ミステリの知識はそう深くはない(失礼!)、一方、有栖川さんはミステリ特に密室物の知識は凄いが、建築の知識はあまりない(当然か!)、そんな2人がお互いの長所を生かしながら、対談を進めていきます。当然1番の読み物は、密室の分類でしょうが、その分類自体が、D・カーの分類(三つの棺)天城さんの密室作法、クレイトン・ロースンの分類、そして、乱歩の分類(探偵小説の謎)の焼き直しと言う感が強く、それらを読んでいれば充分と言う気がします。
そして、巻末にお2人の密室入門的ガイドブックとして、各々3冊ずつ挙げられていますが、これは、少ないのではないでしょうか?このタイトルですから、最低10冊程度は紹介すべきではなかったかなと思います。
安井さんは建築家ですから、床、壁、天井、扉、窓といった構造物を建築家の眼から色々考察されているのは、非常に面白いと思いました。