ジョン・ディクスン・カーの著作のファンの方にとっては
もちろん、彼の作り出した人物や作品を思い出し楽しめるだろうが、
私のような、それ程なじみのない読者にも楽しめる作品集であった。
どの作品もそれそれ、良いと思ったが、中でも、
巻頭の『ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う』は
BBCのラジオ放送に関わっていたカーの周囲で起きる事件を描き、
昔のラジオ収録の様子や、カーの作品そのものも楽しめて、面白かった。
また、『亡霊館の殺人』は密室の殺人の謎や人間関係などの設定が
いかにも昔のイギリスのミステリという感じが出ていて、趣きを感じた。
そして、全くジョン・ディクスン・カーには関係の無さそうな
赤穂浪士の討ち入りにおける密室の謎を扱った『忠臣蔵の密室』は
カーに繋がって行くオチはいまひとつながらも、
この作品集内では異色で、印象に残る作品であると感じた。