期待のアヴァンギャルド・サイケデリック・ロック・バンドである。マンマル・マシーンというバンド名からは、ソフト・マシーンへのリスペクトを感じるし、ユミさんはカンタベリー系のミュージシャンなのだろうけど、サウンドは、むしろ1970年頃のドイツ・ロックなのだ。
というか、私が15歳のときに聴いて以来、憧れ焦がれたアモン・デュール2のような暗黒の混沌。ユーチューブで聴いて、「秘儀ですね、密儀ですね」と感想を送ったところ、そこからインスピレーションを得て、マンマル・マシーンはCDの作品名を「密儀」とされたのであった。メロニア、芸術家に貢献しているのである。えっへん。
で、15歳のとき以来、「なんでフォロワーがいないんだろう。」と不思議に思いつつも、40年間待ち続けたアモン・デュール2のサウンドに極めて近い。過剰で濃密なのである。地獄絵図なのである。当のアモン・デュール2ですら、やがて薄まったサウンドしかできなくなってくるというのに、この島国の地下室に集まった超人たちは、4人全員が一丸となって、異界のエクスタシーを創出していくのであった。
ペンギンハウスでのレコ発ライヴでの演奏は、「女王様はお着替え中」というリエさんのアナウンスで、3人でスタート。やがてユミさんが暗黒っぽい衣装を身にまとい登場すると、爆音・轟音が炸裂。ユミさんは、「そうか魔女の女王なのか」というべき、神秘的なヴォイスで、リードする。そして、グルーヴたっぷりのキーボード。
ギターのタバタさんは、ジミヘンかグルグルのアクス・ゲンリッヒかというべき、サイケデリックで鋭角的な音色で、空間を自由自在に歪ませ、切り裂いていく。
そしてリズム隊がまたすごい。バンドの獰猛なドライブ感は、ドラムスとベースのお二人が担っている。首が勝手に動いて、死んでしまうかと思いましたよ、年寄りだもんですから。
ドラムスの渡邊さんは細い身体のイケメンやさ男のように見えて、実はものすごいパワー。疲れを知らない超絶ドラムスに精悍なエネルギーがほとばしる。音色も様々に実験的だ。ベースのリエさんは、金髪、ミニスカ、網タイツというファッションで、にこにこ笑いながら、ぴょんぴょん飛び跳ねる。いや、すごいパワー。轟音の超絶ベースは、脳神経を直撃し、怪獣だろうと、魔物だろうと、悪の宇宙人だろうと撃退するのであった。き、君は地球防衛隊だったのか。
4人の超絶技巧がぶつかり合って、繰り広げる暗黒の空間。それは、地獄絵図であり、魔性の者たちの饗宴であり、狂気と現実の狭い境界線なのであった。
このマンマル・マシーンの「密儀」は、もうプログレ史に残ると言ってしまいたい名盤。カンタベリーというよりも、やはりこれは初期アモン・デュール2でしょう。それも名盤中の名盤「Yeti地獄」に最も近いのじゃないでしょうか。
そう思って聴くと、ユミさんのヴォーカルも、レナータ・クナウプに聴こえます。そして、時にヨーコ・オノみたいでもあり、まさに神がかり。
タバタさんのサイケデリックな超絶ギター、ワタナベさんのパワフルな超絶ドラムス、リエさんの脳天直撃、怪獣も撃退するほどの爆音ベース。もう失神寸前です。
(レビュー by【密儀】の名付け親、メロニアさん)