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密会 (新潮文庫)
 
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密会 (新潮文庫) [文庫]

安部 公房
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 254ページ
  • 出版社: 新潮社 (1983/05)
  • ISBN-10: 4101121176
  • ISBN-13: 978-4101121178
  • 発売日: 1983/05
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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17 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By シン
形式:文庫
これは、人間社会のシンボルである「病院」を舞台にした小説である。
神話的構造、バロック的表現が特徴的であり、そのディテールは、他の追随を許さない。 此処に描かれている肥大した性的描写も全て、人間社会に普遍的に潜む、人間関係の構造の問題を照射する光に他ならない。
これを読むと、人間とは本来からして、「健康」という概念を放棄した「患者的存在」であり、「医者」とはそこから派生した概念であることに気付く。
そして、これは、副院長のスローガンである「良き医者は良き患者である」から確信へと変わる。
また、それは、彼の哲学、「人間の歴史は逆進化の歴史」であり、「怪物というのは偉大な弱者の化身」という箇所からも窺える。
読了後は、もはや、我々人類には「退院」という救いはないのだという絶望に襲われることになるだろう。
良くて「快癒をねがうよき患者」といったところだ。
まさに地獄のユートピアであり、ユートピアの地獄でもある。
また、別な観点から論ずれば、病院の最高権威者であり、なおかつ最高責任者でもある、〈神〉の化身とも言うべき院長の不在…。
まるで、神が、人間が言語という禁断の果実を手に入れたことで性に目覚めたが故に、この世界を見放したかのような印象を受ける。
後はただ、人間の根源的な欲望であるピンク色の性欲がそのまま剥き出しの状態で開かれる祭典が、待つのみである。
此処には、明らかに人間の原罪が、あまりにも強烈に描かれているとも言える。
だが、あきらめてはいけない。
安部の言うように「絶望も認識である以上、希望の一形式」なのである。
故に、「絶望する能力に希望を託す」しかないだろう。
それにしても、やはりと驚嘆せざるを得ないのは、安部の作品は、私たちの刻一刻と変わる意識や認識によって、如何ようにも読めるということである。
私にとっては、バイブルといっても過言ではない一冊だ。
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13 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TO
形式:文庫
 安部公房は読者を異空間に連れ去る。別に幻想の世界を描いているわけでは何のに異空間なのである。一度読み始めると止まらなくなるのであることが多々あるが、この「密会」もそのうちのひとつ。妻がいきなり救急車で連れ去られたり、下半身が馬の男が現れたり、骨が溶けていく少女に惚れ込んだり、日常あり得ないような出来事に遭遇しながら、最後に出会うのは真の絶望?
 とにかく、この小説のさまざまな仕掛けに魅了される私(あなた?)がいるのは間違いない事実。あなたは医者ですか。それとも患者?
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mu----
形式:文庫
とうとう『密会』も三度読了。
安部氏を尊敬する読者のたわごとですが、許してください。
以下、ちょっとしたパラメーターとして。

一度目は、性的なうねりの強度に、鑑賞の力点。「娘」が愛しい。
二度目は、その構造、キャラの絡み合いに驚愕。この話、一切無駄がないじゃない。目頭があつくなる。
*しかし、上述の読み方は安部氏の世界を神格化してるだけだったりする。

三度目は、やっとそこから離れられる、こと多し。(個人差があると思いますが)

レビュー:あらためて、密度のある小説だとうなりました。三度目の読みは、もはやレビュー向きではないので、二度目の感想メインでいうと、この話で泣くひと、けっこういるはず。しかし「時間のモザイク」のなかに閉じ込められて、立ち上がれなくなってしまう人もいるかもしれません。晩年の作品ということもあり、よくも悪くも手だれた構成になってます。

この『密会』の小説空間では、もともと有限の空間であるはずの「病院」が「世界規模」にふくれあがって行く反面、主人公の精神世界は、どんどん「娘」とともに収縮していき、「ある地点」に限りなく、、、といった永遠に閉じようのない密度がある。これ以上盛り上がってしゃべっちゃうとネタばれの度が過ぎるので、うん、やめます。

*ネタばれされても読み尽くせる小説は、安部公房さんよりお求めください。
密会と併せて読むのは、『箱男』などおすすめです。メビウスの帯のような表裏一体のつながりがあるようなのです。
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