家を持つことが、どれだけ待ち望んだことかが分からない人には、
本書がなぜ恐怖小説家は理解できないかもしれない。
アパートやマンションで暮らして、公私の区別のない生活での圧迫感から解放されて自分の家が持てたとき、
どんなに嬉しいかというのと同時に、どうしても落ち着かないもう一人の自分がいることに気が付く人がたまにいるかもしれない。
家を持てた幸せの絶頂で,有頂天になって居続けることができる人は幸せだろう。
家族が家を持てた幸せを共有してくれれば,怖い思いはしなかったろう。
栗本薫の世代の思いが伝わらないと、何が怖いかが分からないかもしれない。
特定の世代の人にしか分からない、ある時代を代表するという意味では、時代小説かもしれない。