絵柄では大好きな麻生海さんの最新刊。彼女のCG使いはとても
透明感があって美しく、繊細。モノクロ絵も墨が効いていて、シャープ。
内容は短編が3本。ついつい浮気者の恋人である先輩を笑顔で毎回許し、
マイノリティなゲイのために、いつも恋愛に臆病で流れてしまう
コンビ二バイト白石・受と、彼を寡黙に見守りやがて愛するようになる
神崎。
「次にいつ恋愛が出来るのかわからないから」という恐怖を常に抱えている
同性愛者の悲哀がとても重いが、白石の良くいえばマイペース、悪く言えば
ネガティブさから逃げる性格ゆえに、ダークにならず少しだけ救われる。
今迄ノーマルだった神崎が、突然ゲイの白石に惹かれるのも、ちょっと強引な
流れだが、神崎の懐の深さや包容力、不器用さがコマ割りからにじみ出ているので
違和感は余りない。
二つ目のカップルは、姉の再婚相手の息子である19歳の圭吾に惚れられ、
揺れてしまうサラリーマン征人のストーリー。こちらも前の作品のカップルと
同じく、寡黙で一途攻め×優柔不断な受け。
三つ目は、本気の愛情と比較する為に浮気を繰り返す圭と、彼を常に許し、
離れられない恵のストーリー。
総括すると、全体的に似たドラマのカップリング揃いなのが残念。
それから致命的なのが、キャラクターの描き分けがほとんどされず、
途中でどのカップルの話のキャラなのか、全く区別がつかなくなってしまう。
流される受けと「浮気」のテーマがどれも同じなので、飽きてしまうのも難点。
ただ、雰囲気や空気感の出し方は上手。切なさやもどかしさはとても伝わるので、
麻生さんの作風が好きな方には良いかも。ただワンパターンさに飽きる人には不向き。