奥田英朗の「家日和」です。現代の家族小説です。昭和とも違う、バブル期とも違う「現代」の家族小説になっています。ですから感情移入もしやすく、どこかの部分で自分と同じや、共感できる部分も多くあると思います。そしてその作者の視線は現代の家族のあり方を、やや批判めいて見つめています。その部分に共感と同意が生まれます。その感覚が作者の作り出す「家族」に我々読者がひきつけられる理由になっています。ネットオークションにはまる主婦。会社が倒産し、突然「主夫」となり家事全般に目覚める夫。妻が出て行き、残された家で自分の城を作り上げる男。内職中の妻の妄想。山師の夫を持つイラストレータの妻の思い。ロハスにはまる妻を冷ややかな目線で見つめる作家の夫。
どの作品も素晴らしいです。個人的にはラストの「妻と玄米御飯」です。現代批判と妻への愛情が交差する秀作となっております。