詳細な家族法の基本書です。親族編・相続編が一冊になっています。
記述は平易で読み易く、学説についての説明も詳しく、判例原文の引用も多いです。
また、区切り毎に練習問題があり、その回答のポイントも説明されているので、実力を確認でき、とても良いです。
ただ、私が気になったのは、頁をかなり割いて記述されている筆者の意見です。
この意見は、個人の独立と両性の平等を重視するもので、基本的に殆どの制度、判例に対し反対を表明するものです。
(例えば、夫婦同氏、父性推定の重複を避けるための再婚禁止期間については、もちろん反対。754条の夫婦間の契約の取消権は条文削除を主張)
余りに批判しているため、「これでは、婚姻制度の存在意義はないのでは・・・」と思ってしまいます。
そのため、考え方が異なる人にとっては、読んでいて気分の良いものではないでしょう。
また、本書で用いられている用語についても気をつける必要があります。
(例えば、嫡出子は「正統な子」という意味が有り、非嫡出子を差別するものだ、として「婚内子、婚外子」という用語を用います)
これらの語を論述等で用いて良いのかは解りませんので、うっかり用いないように気を付ける必要も有ります。
私見としては、教科書に徹している本、とは呼べないです。ただ、上記の点に気を付ければ、詳細な専門書として用いる事ができると思います。勿論、問題意識が一致している方にはお勧めです。