本書で取材されている「家」のかたちは多様である。老人ホームやコーポラティブハウスから、何のことはない近所付き合いのコミュニティや内弟子を抱える囲碁道場まで、バリエーションの広い共生の姿をレポートしている。撮影は自身の家族によるコスプレ写真シリーズで一挙に有名になった木村伊兵衛賞作家の浅田政志氏で、手堅くも温かい色使いのルポ写真を収めているのも好感を持てる。
星を一つ削った理由は、バリエーションを出すことに優先順位が置かれているが故に、コーポラティブハウスや里子里親制度等の興味深いケースで、ここで取材された以外の他の事例をもっと読んでみたかった点と、紹介された個々の事例についてももっと新聞コラムの文字数以上のドラマを読みたいという食い足りない感があった点。また、写真がこの作家に僕が期待した割には真正面で手堅すぎたようにも感じた。(ぼちぼちコスプレ・シリーズの後に続くインパクトあるシリーズが必要な正念場の写真家さんなんですが、まあ、これは新聞記事になる前提の固めの企画だからしょうがないのかも。)
以上のようなケチはつけたものの、十分読者に自分なりの「家族」のかたちを問いかける力を持った好企画ではあります。何よりも、一人で生きていくよりも、誰かと暮らした方が絶対に人間は幸せになれることを思い出させてくれる温かさがこの一冊にはあると思います。その一方で、全然押しつけがましくない抑え目なところが良いですね。