本書は「共依存」とよばれる人間関係の病理を明かした本である。「依存」というと自分は無縁だと思う人も多いだろうが、依存の対象は嗜好との関りから、何にでもなりうる。アルコール、ギャンブル、食物、等々。本書は、その中でもとりわけ深く家族に依存し、傷つけ合う人々の様子を詳らかにしている。家族に「依存」とは、本来当然のことであるはずが、そのあり方がいびつなため、相互に悲惨な関係に陥っていく。互いに必要としながらも、共にいれば傷つけ合う関係だ。それが発端となって、様々な身体的・精神的不調を発現し、時には暴力となって自他共に傷つける。うつ病が決して珍しくなくなった現在において、「なぜうつ病になるのか」という問に対するひとつの答えとして共依存が考えられることを示した本書の意義は決して小さくはない。うつ病で悩む人の表情の奥に見える強い怒りを感じたことのある人なら、本書の内容に得心するだろう。彼らは外に向けてもよい怒りの矛先を、自分自身に向けてきた人々なのである。本書は単に「父権」とか「ジェンダーフリー」などの、時には誤解さえ生みかねないシンボリックな考えだけでは捉え切れない家族関係の脆さや繊細さを見せつける一方で、家族を依存症から守るための条件もしっかり書かれていて大変参考になる。本書を契機に家族のあり方を真剣に考えてもいいのではないだろうか。尚、同著者による『アダルト・チルドレンと家族』も併読されれば、更に理解も深まるだろう。