現代は家族の形が昔とは変化している。少子高齢化、核家族化、自立しない子供(パラサイトシングルやニートや)の増加。大家族で住み、より豊かな生活を求めて家族のひとりひとりが重要な労働力であった時代はもう遠くなった。物質的な豊かさは手に入れたものの、昔のような充実感は薄れているのではないだろうか。その心理的な物足りなさを埋めてくれるのがペットの存在だ。
9人の飼い主にペットについてインタビューを行い、それをケーススタディとしてまとめた本。あるサラリーマンにとって犬は健全で、かつ大威張りで連れ歩ける愛人であり、ある主婦にとって猫は巣立ってしまった子供の代わりである。相手が人間の家族であっても、気を遣ったり親や子供という役割を演じたりしなければならないことも多いけれど、ペットが相手だと「素」の自分でいられる。そこに自分らしさを見つけて安らぐケースも多い。
子供のいない夫婦の、普通ならギクシャクしてしまう長すぎる2人きりの時間にすんなり入り込むペットたち。とかく地域社会に溶け込めない働き盛りの男性を、地域のコミュニティにすんなり入るチャンスを与えてくれるのは犬の散歩だったりもする。(乳幼児なら公園デビューのようなもの)「先に死んでしまうじゃないか」と思う向きもあるだろうが、犬や猫の寿命は長すぎず短すぎず、ちょうどよいのだそうだ。なによりもペットと暮らすことで、「必要とされている自分」を認識できる。だからペットは家族なのだと。
そのほかにもペット産業についてのコラムが収録されていて興味深い。