現代社会では、少子化問題、熟年離婚、パラサイト・シングルやフリーターの増加、介護問題等「家族」に関する問題が増加している。かつてはセイフティネットとして機能していた「家族」がリスク化している。本書は社会心理学者ネッセの言葉「希望は、努力が報われるという見通しがあるときに生じる」をキーワードに現在の家族の問題を分析したもの。
特に、パラサイト・シングルについて筆を割いているので、その部分を抜き出すと次のようになる。かつての日本に比べ現在は豊かになっているので、若者はパラサイト・シングル(あるいはフリーター)という選択肢が増えた。著者は統計上の数字等を交え、少子化の原因はパラサイト・シングルにあるという。また、父親の収入が高い程その娘のパラサイト・シングル率が高いと相関関係を述べる。パラサイト・シングルの存在が不況に拍車を掛けているとも言う。そして、パラサイト・シングルの将来を悲観する。これに対する対策として、冒頭にも述べた「公平で努力が報われる社会を作る事が必要」と述べる。パラサイト・シングルに厳しい割には対策は残念ながら、あまりに抽象的である。
著者自身、「特効薬となるような処方箋が思い浮かぶわけではありません」と言っているので止むを得ない部分があるが、現状の分析と共に解決の方向性をもう少し詳細に語って欲しかった。本書は若者を主な対象に描かれているようだが、若者を持つ親(老人)、近い将来若者になる子供と考えてみれば「家族」全体に関る問題である。現状の家族に纏わる問題を要領良く纏めた良書と言える。