ペットフードの選び方、中毒の対処法、よくある症状と診断など、飼育学・獣医学上の大切な話から、犬の血液型や食糞行動の謎といった興味深い雑学まで幅広く収載されている。さらに、水素イオン水という最新の知見にまで言及。ここまでくれば、巷でよくあるただの「犬事典」ではない!
著者の作品の全てに言えることであるが、語り口にユーモアがあり、思わず笑ってしまうような例え話から、核心に入っていくスタイルは本書でも健在である。しかも、論拠となっている学術文献の出典が明記されているので、いきあたりばったりの内容ではないことがわかる。
最終章の「ペットロス」〜あなたは大切な存在を失ったことがありますか?〜は特に素晴らしい。ここでは、かわいがっていた犬が亡くなったときに、飼主がその死をいかに受け止め、意味あるものにしていけばいいのかが述べられている。
著者である川野医師は、実際に獣医療の現場で多くの動物の死と向き合い、多くの飼主を慰め支えてきた。亡くなった犬が天国から飼主宛に書いたとされる「手紙」を読むたびに目頭が熱くなる。動物の生命の存在を強く感じ愛情を注げる者でないとこの本は書けない。
小生は人間を扱う医師として多くのがん患者を看取ってきた。職業柄、死生学に関する多くの書を読みあさってきたが、その中でも最高の作品である本書を、犬好きかどうかにかかわらず、全ての人に読んでいただきたい。