神宮山美佳という女性に師事すると、めきめき能力が上昇し、問題意識をもつ考える人になれるというのが、シリーズの概要だったが、第一巻後半から作者の個人的な体験を反映した痛々しい生徒が現れ、その陰鬱さと果てしない苦言のせいか、わずか三巻で終了してしまった。
シリーズを通して感動的だったのは、神宮山に師事した人々がボランティアであらたに他者を導く人になるというくだりで、漫画的表現としての誇張こそあるが、無縁社会と呼ばれ、孤独に暮らしつつも下らないブログや掲示板で心乱される現代人にとって大いに示唆を含むものであると感じた。
もっとも残念だったのは、主人公の神宮山自身が近代化によって取り壊された神社の巫女であるというバックボーンが未完となった『日露戦争物語』で書ききれなかった、近代化に煩悶する日本人というテーマを表現する可能性を秘めていたのに結局実現しなかったことだ。