家づくりを始めて間取りを決めようとしているとき、どうにも悩ましいのは、夫婦の寝室をどうするかだ。すぐにピンとくる人もいると思うが、寝室の間取りが特別に難しいわけではない。間取り以前の問題として、夫婦が同じ部屋で寝るのか、あるいは別室で寝るのか、あらためて問い直し、将来の姿を半ば固定化しなければならないのが鬱陶しく重いのだ。
僕が、感激してしまうのは、この難問に対して驚くべき素晴らしい回答をこの本が用意していることだ。まず、夫婦は無理して同じ部屋で寝る必要はまったくないという見事な割り切りを示したあとで、夫婦の寝室は別にしても両者の距離をあまり隔てないように二人の寝室をつなぐ秘密の通路(秘密とはっきり書かれているわけでないが・・・)を作っておけばいいという。
書斎が欲しいとか、家事室がほしいというのは、静かに読書がしたいとか、家事が大好きというわけではなく、要は一人になれる場所がほしいということなのだろう。そういう部屋を作るだけの広さがあればそれをつくるのも結構だが、そうでないなら夫婦の寝室を隣接した別の部屋にして(この本では、子供部屋のスペースを削ってもその価値はあるという)、連れ合いに気兼ねなく寝れる自由を確保したうえで、一人にもなれる空間とするのがベストの解決策だろう。・・・また、僕にとって家造りのもう一つの難問、リビングという空間をどう考え設計するかについても、サブ・リビングというアイディアが紹介されていてこれも大いに参考になった。