江戸時代、将軍家に勤める女性は、いわゆる「大奥」で働いていましたが、
同様に大名家にも「奥」がありました。大奥同様、奥も殿様以外は男子禁制。
男性もタジタジとなるほどの女傑がいました。本作は、砥部家という大名家
の奥勤めをすることになった同心の娘が目にした怪事件を、自らの命を張っ
て解決しようと挑戦する・・・というのがあらすじですが、ストーリーの
底辺で鳴り続ける「女性の生き方」「親と子」についての作者なりの見解が、
時代小説とは思えないほど今日的で、事件の謎を考えるよりも深く考えさせ
られました。本作の前編(時代的には逆ですが)にあたる『非道、行ずべからず』が直木賞候補になったのなら、本作は受賞が妥当でしょう。『非道』の
頃よりも作者の技量も確実に上がっていますし、現代に訴えるテーマ性は抜群です。