小説『すばる』において07年から08年に掛けて掲載されていた作品の書籍化です.
宵山での一夜に起きていたいくつかのできごと,人たちをおおよそ三つに切り取り,
それぞれ表裏のような視点から描くことで,全部で6編の連作短編集となっています.
物語はすべて一話完結ですが,実際にはこの表裏の二つで一つのようになっていて,
著者おなじみの若さや勢い任せのバカバカしさや,中には静かでゾッとするものまで,
単純な『表』と『裏』の関係とは違う,不思議に絡み合う二つ物語に引きつけられます.
また一話の『裏』を最後に持ってくる構成も,作品全体がキレイに締まってよい演出です.
ほかにも,ある編の主人公が別の編では視点が違うためにただの通行人になるなど,
同じ一夜での物語だけに,人や場所がどこかで少しずつ繋がっているのがおもしろく,
あれやこれやと気づいたときは,ニンマリとしながらページをめくり返してしまいます.
ほかにも著者の別作品からのリンクも織り込まれ,ファンにはそちらも楽しみどころです.
キラキラで賑やかなカバーや表紙も,作品だけでなく祭の華やかさがよく表れています.