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23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
一人の少女が絶望的世界へと踏み込んでいくお話。,
By 読観聞人 (千葉) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 害虫 スペシャル・エディション [DVD] (DVD)
十代の少女が受け入れるには重過ぎるほどの絶望的な現実が、至極淡々と描かれている。主人公サチコはひたすらに無表情で言葉がないが、かつての担任との手紙(メール?)でのやりとりでは、遠まわしだけれども本音を吐露する。無防備な善意で満ちた同級生に対して起こしたある衝撃的な事件をきっかけに、それまで無自覚だった絶望的世界を再認識したサチコは元担任へとかすかなヘルプを発する。しかしそれも叶わず、サチコは元担任とともに絶望的世界から抜け出すのではなく、絶望的世界と正面から向きあう決意をするのです。“堕ちていく”という受動的なものではなく、“踏み込んでいく”という能動的な話であるとラストから私は読み取りました。十代の少女がいじめやら非行から立ち直っていく様をみてカタルシスを得たい方にはおすすめしません。(その点、いじめに主眼をおいているかのように見えるDVDのパッケージは問題であると個人的には思います)この映画で私たちに与えられる役割は、ただ一人の少女が絶望的世界に向き合う様を眺めるのみ。場合によっては、後味の悪さも残ります。 なのでそれ以外の収穫を記せば、やはり宮崎あおいの巧みさ。火炎瓶のシーンでは純粋さの奥に潜む狂気にぞっとしてしまいました。 そしてもう一つ、監督の塩田明彦。「黄泉がえり」や「どろろ」など大衆受けする作品を作る一方で「カナリア」にこの「害虫」と挑戦してみせる姿勢には脱帽です!
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
これが少女の運命,
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レビュー対象商品: 害虫 スペシャル・エディション [DVD] (DVD)
無意識のうちに、周りを蝕んでいく。害虫。劇中に出てくるベタのように 少女は一人でしか生きられない。 少女とは常に孤独なものなのだ。 孤独ではなくなったときが、少女ではなくなる時なのかもしれない。 無口で不器用な少女と それを取り巻く悲しみ。 「かわいそう」という親友の何気ない一言。 無垢と残酷。 胸が押しつぶされるようなラストも 美しい。 宮崎あおい主演作で最高傑作と推したい。 この作品は彼女にしかできなかったし 彼女でなくてはならなかった。 主人公の少女にあまり色気は無いが、 その存在は無意識のうちに周囲の男たちを誘う 魔性を潜めている。 宮崎あおいは圧倒的な存在感で、 その無謀な設定をも納得させてしまった。 対照的な優等生を演じる蒼井優や、 禁じられた想いを隠し、贖罪に逃避する悩める教師に田辺誠一という すばらしいキャスティング。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
映画女優の映画,
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レビュー対象商品: 害虫 スペシャル・エディション [DVD] (DVD)
宮崎あおいは本作で、2001年度ナント三大陸映画祭主演女優賞を受賞している。このときの大賞は、アフガニスタンからの難民の少年を主人公とする、イランのアボルファズル・ジャリリ監督「少年と砂漠のカフェ」。 両者に共通するのは、現代社会の矛盾に曝された年端もいかない少年少女が、良識あるとはいえない手段を用いてでも生き抜こうとする物語であること。 そうして、カメラがその様子をこの上もなく簡潔なスタイルで捉えていること。 とくに「害虫」のカメラのまなざしは、冷酷ともいえるほどで、 彼女のまわりにまとわりつく中年オヤジのみならず、彼女そのものまで害虫のように、冷徹に捉えられる。装飾的なBGMも殆どない。 心ならずも周りを破滅させ、みずからも堕ちていく少女の物語であるこの映画に、テーマ、スタイルとも最も近いのは、女の子を主人公とした青春映画などではなく(そのようなものを期待すれば、まちがいなく不快な気持ちになる)、ロベール・ブレッソンの「少女ムシェット」であろう。 ただし、ムシェットは周囲の無理解のなか、絶望して最後には自殺する。たいして本作の宮崎あおいは、それが堕ちていくことであろうとも、生き抜こうとする。 本作の、劇場公開時のパンフレットに映画監督黒沢清がエッセイを寄せている。そこで黒沢は、溝口「西鶴一代女」の田中絹代、フェリーニ「カビリアの夜 完全版」のジュリエッタ・マシーナに匹敵する、堕ちようとも生き抜こうとする女性の輝きを、宮崎あおいに認めていた。 たしかに、ラストシーン、前方を見据える彼女の横顔は圧倒的な存在感で、観客をも置き去りにして前進していく。とすれば宮崎あおいは、溝口「浪華悲歌」ラストの山田五十鈴にも匹敵しうる横顔の女優、といえるのかもしれない。
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