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しかし著者はこのような「宮沢賢治ファシズム」現象に対して鋭い警鐘を鳴らしています。
その根拠として、著者は宮沢賢治の代表作である「グスコーブドリの伝記」、「銀河鉄道の夜」、「永訣の朝」、「よだかの星」「アメニモマケズ」の分析、ゴリゴリの日蓮宗としての宮沢賢治の思想行動を通じ、宮沢賢治が博愛主義者でも世界に通ずる文学者でもなく、思想的な思考停止や不可知論により、苛烈な現実世界との緊張感も全く持っておらず、数々の自己犠牲の事例を出し、それを有形無形に弱者に対してそれを押し付け、弱者が強者に抵抗する術を放棄するように薦めようとする「強気を助け弱きを挫く異端審問官」であり、論理的な思考様式を放棄するように迫る人間であったということを挙げているのです。
そして社会問題に目をそむけ、不可知論と思考停止、さらに大勢順応主義を読者に要請する宮沢賢治の著作が時の権力者にとって庶民を支配するためのイデオローグとして都合よく利用されてきた事実を通じて、著者は「宮沢賢治は国際的に通用する作家で決して無い日本人の保守的なメンタリティーの代弁者では無い」と診断しているのです。
私も、宮沢賢治のマニフェストである「世界全体の幸福が無いうちは個人の幸福はありえない」という文言を聞いて宮沢賢治はファシズムに通ずる思想の持ち主ではないかと考えてましたが、やはりそのような器具はこの著作を読むことによって疑問は確信に変わったと感じました。
もしも本当に今でも「宮沢賢治なるもの」に対する無批判的な賛美、追従が圧倒的であるという現実を克服し、論理的、批判的な思考能力を養うためには、この著作のような宮沢賢治へのまっとうな批判が現れたことを契機に、宮沢賢治に対する批判的、論理的な検証が本格的になされることを望むものであります。
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