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宮沢賢治伝説──ガス室のなかの「希望」へ (人間ドキュメント)
 
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宮沢賢治伝説──ガス室のなかの「希望」へ (人間ドキュメント) [単行本]

山口 泉
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

宮沢賢治ほど、長く神聖化されつづける詩人もいない。彼はいわば“国民のヒーロー”として君臨してきた。美しい言葉の上に重ねられた『雨ニモ負ケズ』の欺瞞や思想の矛盾を多面的視野から追究し“神聖・賢治”のタブーを描出。

内容(「BOOK」データベースより)

『春と修羅』「銀河鉄道の夜」等を内在的に総検証し宮沢賢治とその影響に徹底的考察を加える空前の試み―現代の抑圧された人びとの存在から再構築される世界の真の全体像とは?孤高の作家による思考の一大交響楽。

登録情報

  • 単行本: 490ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2004/8/21)
  • ISBN-10: 4309016537
  • ISBN-13: 978-4309016535
  • 発売日: 2004/8/21
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 583,067位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
 宮沢賢治、彼を「日本有数の国民的童話作家」とか「博愛と人間愛に満ちたヒューマニスト」として「神話と崇拝」の対象としている日本人が圧倒的に多く、そのため、彼の文学および思想に対する批判的検証がほとんどなされてこなかったという現状がありました。

 しかし著者はこのような「宮沢賢治ファシズム」現象に対して鋭い警鐘を鳴らしています。

 その根拠として、著者は宮沢賢治の代表作である「グスコーブドリの伝記」、「銀河鉄道の夜」、「永訣の朝」、「よだかの星」「アメニモマケズ」の分析、ゴリゴリの日蓮宗としての宮沢賢治の思想行動を通じ、宮沢賢治が博愛主義者でも世界に通ずる文学者でもなく、思想的な思考停止や不可知論により、苛烈な現実世界との緊張感も全く持っておらず、数々の自己犠牲の事例を出し、それを有形無形に弱者に対してそれを押し付け、弱者が強者に抵抗する術を放棄するように薦めようとする「強気を助け弱きを挫く異端審問官」であり、論理的な思考様式を放棄するように迫る人間であったということを挙げているのです。

 そして社会問題に目をそむけ、不可知論と思考停止、さらに大勢順応主義を読者に要請する宮沢賢治の著作が時の権力者にとって庶民を支配するためのイデオローグとして都合よく利用されてきた事実を通じて、著者は「宮沢賢治は国際的に通用する作家で決して無い日本人の保守的なメンタリティーの代弁者では無い」と診断しているのです。

 私も、宮沢賢治のマニフェストである「世界全体の幸福が無いうちは個人の幸福はありえない」という文言を聞いて宮沢賢治はファシズムに通ずる思想の持ち主ではないかと考えてましたが、やはりそのような器具はこの著作を読むことによって疑問は確信に変わったと感じました。

 もしも本当に今でも「宮沢賢治なるもの」に対する無批判的な賛美、追従が圧倒的であるという現実を克服し、論理的、批判的な思考能力を養うためには、この著作のような宮沢賢治へのまっとうな批判が現れたことを契機に、宮沢賢治に対する批判的、論理的な検証が本格的になされることを望むものであります。

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By melt
形式:単行本
無批判にある人や思想を賛美することは危険である。本書ではまず序言「この上なく美しい言葉で語られた欺瞞」で、宮沢賢治の全作品に通底する仏教的思想―雑駁にいえばどんな問題でも最終的には「妙法蓮華経」であるといった不可知論―の脱政治性―人間から歴史性や社会性を抹消―の犯罪性について触れた後、人間が死後の世界について語るのは禁忌である事、「グスコーブドリの伝記」や「よだかの星」に触れながら一見美しく見える自己犠牲は欺瞞である事、「生」は一回しかなく、死後や神について語るいかなる信仰も拒絶すべき事、そして満州事変が発生した年(1931)に「雨ニモマケズ」を書く宮沢賢治の狡さについても情状酌量の余地無く極めて批判的に述べられている。特に強調して批判されるのは宮沢賢治の作品の脱政治性と自己犠牲の賞賛の罪悪である。どのような罪悪であるかは本書を読んで確かめて欲しい。
著者は哲学・宗教・文学・政治・歴史に明るく現実の諸問題に対して自らの見解を明瞭に述べている点で素晴らしいと思う。加えて宮沢賢治の作品からだけでなく多数の引用を行っていて読みやすい。昨今の政局が気になっている方には是非おすすめしたい一冊だ。
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