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宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書)
 
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宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書) (新書)

中村 健之介 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

1861年25歳で来日したニコライは,亡くなるまでの50年間にわたる日記を残していた.著者により発見されたこの日記には明治の文化人や政府高官たちとの交流から各地の庶民の生活,伝道の記録,さらに日露戦争時の苦悩などがつぶさに記されていた.この貴重な歴史的資料を紹介しつつ近代化してゆく明治日本とロシアの魂との相克を鮮明に描く.


内容(「BOOK」データベースより)

1861年25歳で来日したニコライは、亡くなるまでの50年間にわたる日記を残していた。著者により発見されたこの日記には明治の文化人たちとの交流から各地の庶民の生活、伝道の記録、さらに日露戦争時の苦悩などがつぶさに記されていた。この貴重な歴史的資料を紹介しつつ近代化してゆく明治日本とロシアの魂との相克を鮮明に描く。

登録情報

  • 新書: 249ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1996/08)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 400430458X
  • ISBN-13: 978-4004304586
  • 発売日: 1996/08
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.4 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 143,662位 (本のベストセラーを見る)

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5つ星のうち 5.0 忘れられやすい日本近代の発掘, 2006/4/29
東京御茶ノ水のニコライ堂を訪ねる前提として本書を読んでみて、期待は裏切られなかった。骨子となっているのは、サンクト・ペテルブルグの国立中央歴史古文書館に保管されていた、ニコライ自身の40年間に渡る日記であり(著者がそれを79年に発見したのはなんという僥倖だろう)、その重要な部分が、ドストエフスキー研究者にふさわしい良質な日本語で紹介されているのだから嬉しい。
明治後期に日本人の正教会信者数は、カトリックに次いでプロテスタントを凌いでいたという貴重な事実を本書から知ることができたが、その理由の一端もまた興味深い。戊辰戦争で敗れ「古い権威の崩壊を体験」した仙台藩士たちが、「新しい日本にふさわしい新しい統一原理としての宗教」を求めて最初期の信者になったというのだ。ロシア正教はまさしく新興宗教として我が国に到来したのであり、「薩長藩閥の政府を以って不倶戴天の仇敵」となす政治的意味合いをも併せ持っていたのである。
江戸時代から日本人が潜在的に感じ続けてきたロシアの脅威、そして日露戦争。歴史の歯車はロシア正教にとって不利な方向にばかり進んでしまった(日英同盟を結んだ相手イギリスがプロテスタント国であったことも忘れてはならない)。日清戦争に勝って中国を、ひいてはアジアを見下すようになった日本は、日露戦争に勝利したのちロシアまでも「黄色い白人」として劣等視するようになった。その後の歴史は誰もが知っている。
教会関係者の手になる本でないだけに、ロシア正教への正当でまっとうな批判を読みうるところも良い。ギリシャ正教の教義とビザンチンの芸術様式を唯一の権威として無批判に崇敬したことはともかく、国教として安泰を保障されたその保守的な体質は日本の仏教界にも共通している。小冊子ながら日記以外の資料も存分に引用されており、新書の値段でこうした良書が読めることを感謝すべきだ。
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5つ星のうち 5.0 異国での布教に人生を賭けたニコライの情熱と使命感が伝わる, 2009/6/10
カトリック対プロテスタントの二極対立でキリスト教を捉えがちな我々に、東方教会の一派ロシア正教という新たな視点を提供してくれる点に、本書を読む利点がある。坂本龍馬や天璋院篤姫と同い年のロシア人青年司祭(のちの大主教)ニコライ・カサートキンは、半世紀に亘って日本で伝道活動に身を捧げることになる。

幕末の文久元年(1861年)、函館に着任したニコライは、誰彼となく来日宣教師を苦しめた「悪魔の発明品たる日本語」習得に猛勉強を始める。儒学者木村謙斎に師事したお蔭で、史書の記紀から仏典の法華経まで読み下せるほど漢文に熟達したらしい。米国密航前の新島襄が、ニコライと一緒に「古事記」を読み逆に国際情勢や英語を教わったそうだ。のちにプロテスタントに帰依した愛弟子の姿にニコライはさぞかし落胆したことだろう。

本書で紹介される断片的な引用からでも十分ニコライの人となりや考え方、日本という異国辺境で神の教えを広めることに人生を賭けた情熱と使命感を汲み取ることができる。驚くべきは、発展途上の日本、異教徒の日本人を見下すことなく、むしろ、民衆の素朴だが信仰心の篤さに感心し、日本は布教に値すると共感を示していることである。

ロシアの片田舎の村出身で庶民階級の純朴さを愛していたせいか、押し付けがましい伝道手法を嫌ったニコライには、信仰心の土壌があればその土地に見合ったやり方で信者を育てるべきだとの確固たる信念があったようだ。この点他の宗派での教会優位の活動とは一線を画している。

老境のニコライが、日露戦争の勃発による正教会攻撃、ロシア批判を浴びたのは何んとも皮肉である。敵国唯一のロシア人として日本に留まるが、大国ロシアの信じられない劣勢、そして敗北(講和)に愛国心と自尊心を傷つけられてしまう。それでもニコライは老体に鞭打ってロシア兵捕虜たちの慰労を図り、早期の捕虜送還を実現すべく請願の手紙を送付したりの努力を怠らない。

故国ロシアの支配階層の腐敗と堕落に憤ると共に、民衆に純真な信仰心がありながら明治政府の要人に本当の信仰心が希薄だと指摘するニコライは、西欧列強に追いつくための欧化政策によるキリスト教受容は単なる方便であって理念や指針が見出せないとの<危惧の念>を抱いたに違いない。
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