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宣告 (上巻) (新潮文庫)
 
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宣告 (上巻) (新潮文庫) [文庫]

加賀 乙彦
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

独房の中、生と死の極限で苦悩する死刑囚たちの実態を抉りだした、現代の“死の家の記録”。

全員が殺人犯のゼロ番囚たちは拘置所の二階に収容されている。死刑宣告をうけた楠本他家雄は、いつ「お迎え」がくるか怯えている。女を崖から突き落とした砂田の暴力、一家四人を殺した大田の発作、そして他家雄の奇妙な墜落感等、拘置所の医官で若い精神医の近木は丹念に見廻る。生と死の極限で苦悩する死刑確定囚たちの拘禁ノイローゼの実態を抉り出した現代の“死の家の記録”。全三巻。


登録情報

  • 文庫: 494ページ
  • 出版社: 新潮社 (2003/03)
  • ISBN-10: 4101067147
  • ISBN-13: 978-4101067148
  • 発売日: 2003/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 30,648位 (本のベストセラーを見る)
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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By kou
形式:文庫
まず初めに、この本を読んでも私の死刑存続への賛同は揺るがなかったことを書きたい。
ただ、それへの答えを見つけるために読む本でもないし、作者も廃絶を流布する手段として著したものではないことも明白な作品だ。

なぜこんなに一気に読了させるほどこの作品は魅力的なのだろうか・・・。
もちろん、加賀氏の筆致・構成などなど作家としての素晴らしい力量によるところもあるし、
精神科医としての専門家的視点で描かれた迫力もある。
だが、それだけだろうか。
多分に、犯した罪・その被害者の唯一の仕返しともいえる死刑求刑とその執行までの恐怖、
その未知の世界を読み手が追体験させられるからだと思う。
人間とはこんなにもか弱く脆く浅はかなのかと痛感する。
そして、だからこそ人は愛おしい。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
を見事に描かれていると思います。
作者は実際に刑務所で勤務医をしておられ、死刑囚ともやりとりを交わした事があるようであることから
実際の体験が色濃く描かれて居るようです。
中公新書の「死刑囚の記録」にモデルとされる死刑囚が何人も出ています。

この上巻では、主人公の獄中での様子(主に主人公の周りの人間の経緯など)が書かれています。

補足ですが、この作者は死刑廃止を訴えている方だということを頭の片隅においておくとよいかもしれません。
死刑廃止論を忘れてこの小説を読んでも全く問題はないですが、
最近死刑問題を巡る論争(とまではいかなくても、マスコミなどでよく取り上げられているので)
があるので、念のため。
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信仰と愛 2012/5/26
形式:文庫|Amazonが確認した購入
死刑囚楠本他家雄の最後の3日間を描いた小説。

下巻の解説において中野孝次氏が
死刑制度の是非をめぐってあれこれ論じられているが,
私は本書のメインテーマは「信仰」であると思う。
もちろん小説なので多義的な読み方が許されるのだろうが,
そこにばかり注目が行くのは本書にとって不幸であると思う。

本書において死刑囚という極限の状況は
信仰をテストするための多く在る設定のうちの一つに過ぎない。

本書における拘置所の囚人たちは,
ある者は拘禁反応という病理現象を起こし
ある者は自殺し,
ある者は死刑を回避するために自己正当化を繰り返す。

ただ楠本(と隣房の垣内)だけが心を静かに
生産的な毎日を送っている。

それは楠本が信仰を持っているからのようだが,
では楠本の信仰は本物なのかと,
本書ではたとえば複数の精神科医学者に楠本の「病理」性について分析させている。
これらの分析は,楠本を「無情性精神病質者」,「拘禁性誇大妄想」などと断じる,
非常に辛辣なものとなっている。

しかしこのような批判を受けるのは,一理あるものである。
何故なら楠本の信仰は,本人が最後に認めたように,
当初は「底の浅い頭,頭の信仰」に過ぎなかったのである。
その信仰が深化し本当のものとなったのは,
ある女子大生(恵津子)との文通により
初めて「愛」というものを体験したからである。

楠本は,そうして愛を体験し真の信仰を得たところで死刑執行の宣告を受ける。

この小説構成は非常に巧みですばらしく,
上中下巻を長い間かけて読み進めたこともあり,
「お迎え」の宣告に,
読者の私も全身の血が止まるような衝撃を受けた。

読み終えてから半年ぐらいたつが
今も折に触れて読み返すぐらい大切な小説となったので
あまり難点は言いたくないが,
ただ各死刑囚のモデルが簡単に同定できるぐらい設定がほとんど変えられてないのは,
ノンフィクションではないのでいかがなものかとは思った。
あと聖痕や啓示に関する記述も,
もうちょっと禁欲してもよかったのではないか,と思った。

以上若干の難点はあるが
日本にこんなすごい小説家がいたのかと感銘を受けた作品であった。
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