表題作は、壮絶ないじめを受ける中学生が主人公の「冷たい水の羊」でデビューし、「図書準備室」、「神様のいない日本シリーズ」等、試みに満ちた作品を発表し続ける著者の、文字通りの実験的作品。純文学小説の皮を被ったエンタメ小説なのか、エンタメ小説の皮を被った純文学小説なのか、あるいはどちらでもないのか・・・。主人公は書くネタが尽きた下関在住の売れない小説家。次の小説を書くためにこの主人公は、あるとんでもないことを思いつき実行する。第140回芥川賞候補作「神様のいない日本シリーズ」同様、文体は読みやすい。この作品をこれから読もうとする方は、この著者の第136回及び第140回の芥川賞候補作の選考委員からの選評にざっと目を通してから一読することをお勧めする。ちなみに第140回芥川賞受賞作は「ポトスライムの舟」でした。