新刊本のレビューにこのタイトルは変だが、同様な気持ちを持たれる方も多いのではないか。
何年も牢屋に入っていた人が普通に生活や仕事が出来るのか?そもそも雇ってくれるのか?やっぱり前科は黙ってるのか。そんな下品な好奇心を持ってた方は評者だけではなかろう。
本書は雑誌「実話ナックルズ」に掲載された記事を基にしている。
全部で33本の記事が載せられている。それぞれの記事はわずか数ページで、もう少し深堀りしてもらいたい気もするが、取材相手が元受刑者であることを考えると、これもやむを得ないだろう。むしろ33本という数により、彼らの多様な姿を垣間見れることを良しとしよう。
単なる窃盗から殺人まで元受刑者の罪名は様々である。飯を食う金がないために、数百円の菓子を万引きをした程度でも、累犯者であれば10ヶ月もの実刑判決になるのだ。
子供の頃に万引きを繰り返した人は少なくないと思う。
是非、本書を学校推薦図書に加えて欲しい。無理か。
取材に応じたという点で平均的な元受刑者とは違うのだろうが、それでも彼らの本音を聞けるのはおもしろい。
それにしてもニュースで殺人事件の刑期が10年、20年と聞いても長くは聞こえないが、実際の受刑者の人生を見れば長い。若者が中年になり、中年が老人になる。日本の刑罰は教育刑ということになってるが、教育せずとも衰え無害になるまで拘束してる効果はあるだろう。
出所後の生活はやはり大変なようだ。水産加工場や港湾労働、きつい仕事でも有ればよい。昨今のご時世、前科を隠しても中高年の仕事は見つからない。日雇いを捜しても見つからない。ホームレスに成る者もいる。
本書を読んで仮釈放の本当の意味が分かった気がする。出所直後の仕事も住む場所もない一番不安定な時期に、援助と監視を行うことで、社会復帰の確率を上げるのだろう。気にくわない制度だが、満期まで引っ張れば再犯率が上がるのではないか。