鉄道の好きな人なら鉄道連隊のことは一度は聞いたことがあるはずだ。
名称に鉄道とついてもやはり軍隊組織の一部であるから現役時代には積極的に公表するための資料が作成されることなどはなく、また戦後に書かれた本は専門家による軍事史的観点であったり、かつて鉄道連隊に所属していた退役軍人の手記であったりした。
本書は鉄道連隊を鉄道技術論的視点からその鉄道技術を中心に、また鉄道ファン的視点から面白いと思われる項目をコラム的に抽出して、その全体像をまとめたもの。すなわち、鉄道連隊の発足から終焉までの歴史、国内での基地や訓練線の展開、外地での敷設・輸送作戦などの活躍、使用された車両の種類やその構造、現在に残る連隊の遺構探索など。
興味深いのは、線路面では戦場への補給路となる荒野にいかにして早く鉄道を敷くかという土木技術。鉄道模型のレールのような枕木付きの即席線路を貨車に積んで行ってドンドン前につないでいく工法。谷には木製の橋を架け、山があれば多段スイッチバックで山を越える。さまざまな軌間が存在する大陸の鉄道にあってすみやかに改軌する技術。
車両面では、双合式と言われる背中合わせにつながった蒸機や、軸重軽減のための5軸駆動(E形)蒸機とその急カーブ追随メカニズム、軍用トラックベースの軌陸両用牽引車、軌間可変機能付台車の貨車など。
運用面では、煙の出る蒸機では敵に見つかりやすいということで運行のすべてを手押しで行った例(つまり人車軌道による軍事輸送)、機関車を船に乗せての渡河&上陸訓練、脱線転覆蒸機の復旧作業、大砲を運ぶシキやキャタピラ付のソでの荷役など貴重な写真がたくさん。
これら貴重な写真や資料が入手しやすい手頃な本にまとめられたものとして、この分野に興味のあるファンには5つ星級でお勧めできる。