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実録アヘン戦争 (中公文庫)
 
 

実録アヘン戦争 (中公文庫) [文庫]

陳 舜臣
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 285ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (1985/03)
  • ISBN-10: 4122012074
  • ISBN-13: 978-4122012073
  • 発売日: 1985/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 「勝つ可からざるは己に在るも、勝つ可きは敵に在り」とは中国古代の兵法家孫子の言葉ですが、本書を読むならばこの言葉が、蓋し名言であることを痛感します。アヘン戦争の帰趨とは清朝の「患」であり、イギリスの「健」の結果では必ずしも無いのです。巨視的に見れば、斜陽衰世の清朝は制度的に見ても、社会的に見ても、最早立て直しの効かないほどの病理を抱えており、そこにイギリスのアヘンが入り込み崩れた役人の綱紀と共に、その害毒を垂れ流して、ついに戦争に至った。そして、微視的に見れば、アヘン禁絶を徹底せんと万全の体制で臨んだ林則徐に対して、政府は一致した考えを持たず、皇帝は現状維持に汲々とし、持てる力を集中しないばかりか、寧ろわざわざ捨て去るかのように、進んでイギリスの利とする所を行った。確かにイギリス軍は優勢でありましたが、清朝のこのようなてんでバラバラな行動がなかったならば、果たして勝てたかどうかわかりません。正に「勝ベ可らざるは己に在」ったのです。それではイギリスが兇暴な清朝に立ち向かう、尊敬さるべき存在であったかといえば、当然それも否です。著者はイギリス兵が行く先々で起こした淫虐な蛮行の数々を明確に指摘されています。鎮江に於いて「婦女の屍、道上に満」たしたイギリス兵たちがまさか長い戦争を戦うだけの基盤を築き得たかといえば、甚だ疑問なところで、ここでも「勝つ可きは敵に在」った訳です。
 著者は決して感情的になることなく、真実を淡々と述べることで、アヘン戦争とは如何なるのもであったかを問い直します。ここで淡々とした筆致である所が、寧ろ小説とはまた違った歴史のおもしろさを見せてくれ、しかも声を荒げて弾劾するよりも、より効果的にイギリスの行為の醜悪さを見せ付ける事にもなっています。歴史が持つ複雑な要素をどのような「歴史」に構成して行くかは現代日本にも直接的に関係のあることでしょう。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
手堅い一冊 2006/10/3
By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:文庫
 ワタクシ、アヘン戦争について特に詳しいわけでも、格別の関心を抱いていたわけでもなく、高校時代に習ったきりです(それさえ、よく覚えていない)。ただフッと、「アヘン戦争って、どんな戦争だったんだろう…」という疑念がわいて本書を手に取っただけの人間です。ですから1971年に単行本刊行された本書が、現在の研究水準から見てどう評価されるべきかについては、全く無知です。

 と、言い訳した上で感想を述べれば、読みやすく、私が求める程度の知識を十分に与えてくれました(むしろ詳しすぎないところが良い)。以前から疑問だった、清が海禁政策と対外交易をどう両立させていたのかについても、イメージを得ることができました。英国にとってアヘンによる収益は、ベンガル政庁を支えるのに不可欠だったという指摘(p235)も興味深かったですし、林則徐が更迭後、太平天国の乱で再び欽差大臣に任命され、しかし赴任途上で没したなんて話も初めて知りました。不謹慎な言い方ですが、中国史のドラマを楽しみつつ勉強できました。

 ただ細かいことながら、学海堂という由緒ある学校の学長・教授連が貿易商たちに籠絡されてアヘン弛禁論を唱えたのではと推測する件り(p103)で、これを「産学協同」と呼んでいるのには、ちょっと笑いました。「曲学阿世」の方がまだいいのでは? と身の程知らずにも思うのですが…もっと良い言葉があるかもしれません。

 ちなみに終章の後に付された「それからの林則徐」は、元は1980年に単独で発表された文章で、やや著者の肩の力が抜けている印象。当時の世相に言及する部分が散見されて時代を感じさせましたが、これはこれで味わいでした。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
同じく陳舜臣の筆にある小説「阿片戦争」が書かれた後に本書「実録アヘン戦争」が書かれている。
これは何を意味しているのであろうか?

全3巻からなる大河小説、同じ題材を扱った作品があるにもかかわらず本書「実録アヘン戦争」を書かなければならなかったのかを探しながら読んだ。
作家としての著者が事実を事実として書きたいと思わせる何かがあるのではないか?
その感覚を大切にしたいと思った。
だから、まずは事実を先に知っておこうと思ったので、小説版よりも先に本書を読んだ。

さすがに陳舜臣の筆は読ませるものがある。
読んでいて飽きないだけでなく時代のうねりのようなものがよく分かる。
陳舜臣の歴史観なのか、それとも中華民族の歴史観なのかよくわからないが、非常に感銘を受けた。
陳舜臣という作家をとおして見た歴史観、中国と日本の架け橋となってくれる彼のような作家がいてくれてうれしい。
素直に喜びたい。

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