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60 人中、55人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
原著で読むべき一冊,
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レビュー対象商品: 実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 (単行本)
行動経済学のリーダーのひとりリチャード・セイラーによる行動経済学ないしは実験経済学の啓蒙書である。初心者のための啓蒙書とはいえ、内容は深い学識に支えられており、経済学やマーケティングの研究者にも示唆するところは大きい。ただし、セイラーのような第一級の専門家による訳書は、翻訳者の選定を誤ると、大いにその価値を減ずることになる。本書は、理論書ではないため経済学や数理の素養がなくともそこそこの翻訳はできるだろう。しかし、「また、民間組織や公的組織が、無作為に選ぶ、大半の人がなにを望んでいるか把握しようとするといった形で、何らかの中立性を確保しようと尽力することがあるのも事実である」(p.25)といった訳文を読むと、訳者自身の原文理解の生半可ぶりが知れる。単なる英文和訳は、翻訳ではないという基本的な事柄を等閑視しては、出版社の責務も果たせないだろう。
行動経済学について一定水準のトレーニングを受けた読者は、意味不明な訳文に付き合うよりも、原著を読まれるようお勧めしたい。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「選択アーキテクチャー」の創造を巡って,
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レビュー対象商品: 実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 (単行本)
日本人の書いた「行動経済学」の解説本としては、多田洋介氏や友野典男氏)、そして最近では依田高典氏のものがあり、ベーシックな部分はそれらの著作に譲ることとし、ここではリチャード・セイラー教授(シカゴ大学)とキャス・サンスティーン教授(ハーバード大学)の主唱する「リバタリアン・パターナリズム」に的を絞ってみたい。この考え方は、人間の「限定合理性」を前提として、「選択の自由」を保障しつつ、「インセンティブとナッジを適切に配置することによって、人々の生活を向上させる能力」を高め、「社会の重大な問題の多くを解決できる」ような「選択アーキテクチャー」を構築することである(本書p.22)。 この人々をナッジ(誘導)する「選択アーキテクト(設計者)」、具体的には為政者等になるわけだが、彼らに関して前掲の依田高典氏は「人々の限定合理性を信奉する立場が、なぜ為政者に対しては合理性を仮定できるのか」と疑問を呈し、圧力団体のロビイングなどによって「為政者といえども最適な行動からは乖離するだろう」と述べ、「失敗した計画に対する安全装置を作る必要」や「市民も為政者も限定合理的であるがゆえに、お互いの選択の自由への干渉に対する抑止力を持つような仕組みが必要」としている(『行動経済学』pp.188~189)。「選択アーキテクト」について、これはこれで尤もな疑念であろうと思う。 こうした「選択アーキテクト」などに係る隘路の解決方法として、これは政治学又は政治哲学の領域に入るのだけれど、私はコミュニタリアン的な概念である「熟議民主主義」といったものを提起したい。この手続が「共通善に基づく政治」(マイケル・サンデル)をもたらすとともに、「共通善」による「選択アーキテクチャー」を創造し、ひいては“負荷なき市場主義”(私の造語)に対する「市場の道徳的限界」(サンデル)も定めるのではなかろうか。なお、「共通善」を「限定合理性(非合理性)の塊ではないか」と異論を挟む余地もあろう。このことに関しては、「私は過去を伴って生まれたのだ」(アラスデア・マッキンタイヤ)という言葉で留めたい。
19 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
幸せというケースバイケース,
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レビュー対象商品: 実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 (単行本)
このページの上、本書の内容紹介にもあるように、テーマはナッジ。
このナッジを意訳をすれば、気づきをもたらすための示唆、ともいえます。 そんなに堅い意味ではないのですが、仕草をともなうニュアンスなので、ピンとくるまで時間がかかりました。 ナッジはケースバイケースです。 昔ながらのコントではよく、ナッジが効果を発揮せず、てんやわんやになるという、シチュエーションギャグがあります。 志村けんの演じる、耳の遠いおばーちゃんは、いってきかせてもわかりませんよね。 でも、自分の都合のいい話には、正直だったりします。 心地のいい社会をバックグランドで動かしながら、やな気分をあたえない示唆を与えつづけるという神業。 本書は『アニマルスピリット』との併読を強くオススメします。 ほとんど同じ問題点に気づきながら、方法論はまったく別。 そこで生まれる自分なりの考え方が、本を読む楽しみだったりします。
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