ちくま文庫版で出た『英語のこころを読む』を基にしたもの、とのことであるが、大幅な改訂増補がなされており、実質的に書き下ろしといえる。第一部の「英語のこころを読むためのヒント」は、主に、英文にこめられた気持ちを掬いあげるために必要な文法項目をおさらいした
もの。文法の説明でありながら例文(とくに芝居)からの引用の活きがよく、決して退屈しない。第一部「快読のためのヒント」は、もう少しマクロな視点から見た、読み方のヒントである。ベテランの翻訳者、英語教師としての行方氏の肉声が聞こえてくる箇所でもある。第二部は、「快読」の実践としてのノエル・カワード『私生活』の味読。『英語の読み方、味わい方』でジェイムズの短編をまるまる味読させてくれた行方氏による、風習喜劇の味読である。
気の利いた英会話をしたい、という動機からでもよいから、この本のこの箇所を読んで欲しい。正しく英語がわかると、こんな洒落た言葉がわかる(言える)と思うこと、請け合い
である。