「すべての顧客に安価な物資を大量に」という松下電器創業時の著者の哲学は、昨今の「顧客をターゲティングして収益率をアップし、事業内容を絞って経営効率を上げる」といった経営手法と相反する発想ではある。しかし、すべての生態系につながる産業活動を自覚した著者の宇宙観には、世紀を越えるダイナミズムがある。本書で論じられることの多くは、「対立しつつ調和しよう」「とらわれぬ心でありのままを見、なすべきことをなそう」など抽象度が高く、即効性のあるビジネス戦略とは種を異にする普遍的「精神哲学」である。
それも不思議ではない。著者は、事業経営は俗事であると思われがちだが、経営者の精神があればそれは芸術たり得る、という理念の持ち主だからだ。確かに、哲学不在の「夢」は普遍性なき私的「欲」の域を出ず、人や時代を動かす力においては卑小だろう。「計画」や「目標」を越えた理念や哲学を自分は持つか。大きな活動を機動、推進し、人を動かす「精神」がそこに存在するか。本書を手にとった現代の起業家、経営者諸氏は、けっきょく、この自問に帰着するのではないか。
既述のとおり、昨今の「Focus&Deep」の潮流とは相容れぬ発想も含む「水道哲学」をはじめとした理念に、思わず古式ゆかしい香りを嗅ぎ取ってしまう若いビジネスパーソンも多いだろう。しかし、本書を読む意味はむしろ上に挙げた「自問」にある。21世紀の経営者こそ必読の、経営のロマンを思い出させる1冊である。(石井節子) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。
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著者自身の60年以上に及ぶ経営の経験に基づいた「心構え」が書かれています。
私自身、サラリーマンとして生活していますが、この本を読むと経営者であれ被雇用者であれ一つの
会社として共通の目的を持ち、その達成に向けて継続的に努力する事の意義がいかに大切であるかが
認識されました。
これまでの「会社側は」という考えが大きく変わります。
この本は自分で経営をしようという方や経営に興味がある方、最もお勧めするのは就職活動をされて
いる学生の方ではないかと思います。
これから社会に参加しようとする段階で、経営者というものの考え方が分かればきっと会社選びにも
プラスになると思います。
通勤通学にもってこいの1冊です。
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