他のパーソンセンタードケアの書籍の多くが訳本であるが、これは日本人の手によって書かれたパーソンセンタードケアの本である。
この様な新しい概念が日本に入ってくると、私たちはその言葉のみを取ってあたかも「それを行っています」と考えてしまいがちであるが、パーソンセンタードケアについても同じように言える。その「誤解」を見据えて書かれたこの本はボリュームや文章の読みやすさもあり、なかなか勉強嫌いのスタッフにも勧めやすい。
この本を読んでいると、認知症ケアはまずそこに関わるスタッフの心構えが大切だと言うことがよくわかる。つまり一人の人として認知症高齢者を捉え、その人に向かい合うこと。それはマニュアルにはできず、新たなケアの考えを受け入れるには大きな困難も伴うだろう。しかし一人の人を中心に考えるということがいかに大切かというのは、実際に実践して初めて結果が伴ってくるものである。
実践に際して「誤解」や「我流」なパーソンセンタードケアに陥らないためには、この理念についてよく学び、まずは理念の通り実践してみることが大切である。その入門書として、本書は役に立った。
著者の水野先生は、DCM日本国ストラジテックリードという立場で、パーソンセンタードケアと認知症ケアマッピングの普及に尽力されています。