本書は、ケン・ウィルバーのインテグラル理論を日常生活で実践するための方法論である「インテグラル・ライフ・プラクティス(ILP)」について本格的に記述された、初めての日本語書籍です。
内容としては、まず初めに概要が述べられた後、「シャドー(影)」「マインド(心)」「ボディ(体)」「スピリット(霊)」という4つの領域に働きかける実践の方法が具体的に紹介されていきます。
さらに「統合的な倫理(深いレベルから再構築された倫理観)」および「関係的な実践(仕事、コミュニケーション、親密な関係...)」について言及された後、最後には「実践に関する実務的問題(自分に合った実践プログラムの作り方、実践を修正・改善していくプロセス、実践を継続する際に不可避的に訪れる困難への対処法...)」について、極めて実際的な知恵と洞察が提示されます。
そこでは、単なる一時的な達成だけではなく、ゆっくりと、しかし確実に、自らの「器」それ自体を大きくすることで、より自由で深みのある生き方を醸成することが志向されています。また、様々な生き方や境遇を通して実践可能であるように配慮されており、学生から年配の方まで、ビジネスパーソンから瞑想家まで、時間のある方から時間のない方まで、それぞれの生活環境に最も適した形で本書の実践を取り入れることができるでしょう。
少々高いですが、インテグラル思想を単に頭で理解するだけでなく実際の日常生活・社会生活のなかで活用してみたい方にとっては必読の書籍であると言えます。
何より、「真にバランスよく自己を成長させたい」方には非常に強くオススメしたい本です。個人的にも、実践的なバイブルとして一生使えそうなほどの本だと思っています。
最後に本文から抜粋。
「インテグラル・ライフ・プラクティス〔ILP〕とは、諸々の実践活動を日程に基づいて規則正しく実践するための単なる枠組みではありません。それは、その日に実施する活動をまとめたリストではないのです。(中略)単にヨーガの教室に通うだけでは、そして瞑想をするだけでは、ILPに完全にとりくんでいるということにはなりません。ILPは、瞑想場やジムや道場だけでとりくまれるものではありません。(中略)
実践が真に現実的で重要となるのは、私たちが職場に遅刻したときであり、恋人との感情的な議論に巻き込まれたときであり、子供が夜泣きをしているときであり、また、愛する人の病を知らされたときなのです。」(p378)